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web会議の普及が、オンライン法要への違和感を拡大させた

[10]全国生活者意識調査「コロナ禍と仏事」から見えてきた仏教の未来(上)

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

予想に反して増えたオンライン反対派

 オンライン法要に関しては次の質問を行った。

 〈コロナ禍で三密を避けなければならない状況の中、法事(一周忌や三回忌等)をオンライン中継(zoomやYouTube等)で行うお寺が増えています。ご自身が法事をやらなくてはならないとしたら、このオンライン法要についてどう思いますか?(複数回答可)〉

 回答は以下の表に数字を示したが、回答の傾向によって、推進派を緑、慎重派を黄色、消極派をオレンジ、反対派を赤に色分けをした。消極派と反対派の区別がわかりにくいかもしれないが、消極派は「やらなくていい」と考えている人、反対派は「やるべきでない」と考えている人である。

【コロナ禍で三密を避けなければならない状況の中、法事(一周忌や三回忌等)をオンライン中継(zoomやYouTube等)で行うお寺が増えています。ご自身が法事をやらなくてはならないとしたら、このオンライン法要についてどう思いますか?(複数回答可)】拡大【コロナ禍で三密を避けなければならない状況の中、法事(一周忌や三回忌等)をオンライン中継(zoomやYouTube等)で行うお寺が増えています。ご自身が法事をやらなくてはならないとしたら、このオンライン法要についてどう思いますか?(複数回答可)】

 今年の調査では、回答の上位を示したのが消極派の〈オンライン中継にしてまで、やる必要は無い〉で40.5%、反対派の〈オンライン中継で法事をするのは、ちょっと違う気がする〉が36.0%である。

 一方、推進派の〈こんな状況なので、オンライン中継の法事はいいと思う〉は11.3%に過ぎなかった。

 去年と比べて大きく変化したのは、反対派の〈ちょっと違う気がする〉である。昨年の21.0%から15.0ポイントの大幅アップである。

 一方、消極派の〈やる必要は無い〉が、48.0%から7.5ポイントのダウン。

 慎重派は、ばらつきがあるものの全体として減少の傾向、推進派は1.3ポイントの微増である。

 つまり調査結果から見えてくるのは、オンラインの儀式に対しては、全体として肯定的に捉える人は少なかったということ、そして昨年と比べると、慎重派、消極派が減り反対派が増えたということだ。


筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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