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コロナ禍で高まる供養の気持ち、コロナ禍で進む葬送のパーソナル化

[11]全国生活者意識調査「コロナ禍と仏事」から見えてきた仏教の未来(下)

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

コロナ禍と葬送の簡素化を考える

 コロナ禍を受けて葬儀や法事に対する意識がどのように変化したかを調査した全国生活者意識調査「コロナ禍と仏事」。前回の記事(「web会議の普及が、オンライン法要への違和感を拡大させた」)ではこの調査をもとに、コロナ禍の中で、オンラインを通じて行う儀式である「オンライン法要」が、どの程度受容されていったのかについて分析した。

 さらに今回は、葬送全般において、人々の意識がどう変化したかについて考えてみる。

 葬送のあり方は、1年以上続くコロナ禍によって大きく影響を受け、特に葬儀や法事といった儀式も現実に大きく変化している。

 例えば葬儀においては、人が集まることのリスクを避けて、会葬者を極力抑える家族葬が大幅に増えている。さらには儀式そのものを行わず火葬のみで済ます直葬も増えつつある。

列者80人用の会場では、新型コロナウイルス感染対策のため、椅子の間隔を空けて20人用としている=2020年4月10日午前10時15分、福岡市西区2拡大新型コロナウイルス感染対策のため、参列者80人用のスペースを椅子の間隔を空けて20人用とした葬儀会場=2020年4月、福岡市西区

 また一周忌や三回忌などの法事でも、同様なことが起こっている。法事で、親類や知人を呼ばないというのは、もはや当たり前になりつつある。それどころか法事を不要不急と考えているのか、法事を行わないという家も増えている。

 葬送の簡素化がコロナ禍によって大きく進んでいるのである。

 ここまで読んで、仏教界や葬祭業界の人の中には、ちょっと違和感を持つ人もいるかもしれない。それは、「葬送の簡素化と言うが、コロナ以前から、同じことが言われていたんじゃないか」ということである。

 実はその通りで、前述の変化はここ10年くらいの間、じわじわと広がってきた傾向でもある。コロナ禍によって一気に広がったのも事実だが、もともと進みつつあった傾向でもあるのだ。

 仏教界では、コロナ禍によってお寺の大切さ、仏事の大切さが損なわれていると恨み節を漏らす人が多い。

 コロナ禍で影響が出ているのは間違いないが、コロナ禍そのものが原因なのか、あるいは単に簡素化の流れを速めているだけなのかは、見極めるのが難しい。

 そこで今回の生活者意識調査を通して、葬送に対する意識について、コロナ禍によってどんな影響を受けているのかという問題と、そもそも人々はどう考えているのかという問題を比べることで、葬送の簡素化の背景を考えてみたい。

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筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです