メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

車いすユーザーを狙う痴漢・ストーカーを鉄道会社は野放しにしないで

「声かけ・サポート運動」に痴漢対策も加えて欲しい

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 車いすユーザーを狙った一部の悪質な痴漢やストーカーが、駅員が介助する際に乗車位置や降車駅について流すアナウンスを悪用しているようです。

 障害者団体「DPI日本会議」が公表した被害実態によると、ある女性車いすユーザーは、「ここだ!」とスーツ姿の男性が乗ってきてぴったりと後方にくっつかれ、下着の色を聞かれるなどしたようです。また、アナウンスで行き先を知った男性から「俺も○駅だよ。一緒に降りようよ」としつこく声をかけられた人もいました。

CameraCraft/Shutterstock.com拡大CameraCraft/Shutterstock.com

 電車内で痴漢・ストーキング行為をすること自体、とても下劣で許されないことですが、即座にその場を去ったり、途中下車したりするハードルが高い車いすユーザーを計画的に狙ったこれらの加害行為は、さらに悪質性が高いと言えるでしょう。

“お上”の指摘が無いと動かない鉄道事業者に落胆

 これに対し、DPI日本会議は、2021年7月中旬、国土交通省に改善を求める要望書を提出し、同省は鉄道事業者に対してアナウンス以外の方法を検討するよう促しました。これを受けて、JR東日本は、9月7日の社長会見で、「原則やらない方向で考えている」という方針を打ち出しました。DPI日本会議や被害当事者のソーシャルアクションによって改善が進みそうなことは、大変素晴らしいことだと思います。

7月に国土交通省に提出した要望書拡大障害者団体「DPI日本会議」が7月に国土交通省に提出した要望書

 ただし、国から指摘が入ってようやく改善に動こうとする鉄道事業者の姿勢については、落胆する面もあります。被害を受けた女性によると、利用する際に鉄道会社や駅員にアナウンスをしないでほしいと伝えても、「それなら乗せられない」といった反応をされることが多かったとのことです。つまり、現場ではかねて同様の要望を聞いていたはずなのに、これまでははね除けてきたことがあったわけです。

 国交省が、8月18日に全国60以上の鉄道事業者を集めて、女性被害者にオンラインで被害の実態を聞く場を設けましたが、ユーザーの声に直接耳を傾けず、“お上”に仲介してもらったというのは、公益性の高いサービスを展開する事業者としての責務を全うしているとは言いがたいのではないでしょうか。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

勝部元気の記事

もっと見る