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街じゅうにベンチを!──高齢者が散歩、通院、買い物等で休むために

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 今年も「敬老の日」がやってきた。これを機に、「高齢社会」に関わる各種問題が論じられているが、高齢者を含む弱者に配慮した都市計画を、と私は願う。

 この点では、古代・中世都市に学ぶべきものがある。

横断歩道を歩道と同じ高さにする

 紀元後79年、イタリアのヴェスビオス火山で大噴火が起き、一晩降り続いた火山灰等のために埋没したのが、ポンペイという都市である。

 ポンペイにはいろいろ興味深いことがあるが、街づくりの観点から興味深いのは、馬車が走る「車道」に、一般の歩道なみに高くした横断歩道が設けられていたことである。歩行者は、間をおいて置かれた舗石上を歩いて、車道を安全に渡ることができる。

ポンペイの横断歩道(手前)=撮影・筆者拡大ポンペイ遺跡の横断歩道(手前)=撮影・筆者

 馬車からすれば、高さ数十cmの舗石が行く手を遮るように並置されているのであるから、車輪を、速度を落として舗石の間に慎重に通すしかなかったはずである。これにより、子ども・高齢者を含む社会的な弱者の命が守られただろう。

 今日これをそのまま採用することはできないが、その精神を横断歩道づくりに活かすことはできる(「池袋の「暴走事件」を、運転する高齢者の注意義務にとどめてはならない」)。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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