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【公演評】星組『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』

男の中の男・柳生十兵衛とクラシカルレビューの色気-これが礼真琴のダンディズム

さかせがわ猫丸 フリーライター


 星組公演・宝塚剣豪秘録『柳生忍法帖』とロマンチック・レビュー『モアー・ダンディズム!』が、9月18日、宝塚大劇場で初日を迎えました。この作品は、山田風太郎氏原作の傑作小説に宝塚らしいアレンジを加え、隻眼の天才剣士・柳生十兵衛の活躍を描いた痛快活劇です。人々の心をつかんで離さないスーパーヒーローを演じるのは、星組トップスター礼真琴さん。重低音な美声と卓越した刀さばきで、柳生十兵衛を現代によみがえらせました。

 ショーはロマンチック・レビュー『モアー・ダンディズム!』。男役の美学を追求するダンディズムシリーズ第三弾です。宝塚の伝統を継承するクラシカルなレビューで、エネルギッシュな星組とロマンチックが華やかに融合しました。(以下、ネタバレがあります)

身体能力を発揮する礼

『柳生忍法帖』公演から、礼真琴=岸隆子 撮影拡大『柳生忍法帖』公演から、礼真琴=岸隆子 撮影

 柳生十兵衛は、将軍家剣術指南を務めた柳生宗矩の息子で実在の人物です。今もなお、あらゆる本や映画、テレビドラマなどで描かれ続けていることから、いかに魅力的な人物であったかがうかがえるでしょう。強くやさしく、男気あふれる日本男児は礼さんの得意とするところ。2017年、大好評を得たドラマシティ公演『阿弖流為』の大野拓史先生と、再びの和物タッグとなりました。

――寛永年間。藩主・加藤明成(輝咲玲央)の暴政を見限った堀主水(美稀千種)ら一族は会津藩を出奔し、女たちを鎌倉の尼寺・東慶寺にかくまった。だが明成は、漆戸虹七郎(瀬央ゆりあ)ら七本槍に命じて、主水らを断罪。東慶寺へ乗り込み、女たちの命をも狙う。通りがかった千姫(白妙なつ)がひとまずその場を収めるが、「七本槍には女たちの手で誅を下さねばならぬ」と、沢庵和尚(天寿光希)に指南役を連れてくるよう依頼。そうしてこの尼寺へやってきたのが、隻眼の天才剣士・柳生十兵衛(礼)だった。

 礼さん演じる柳生十兵衛は、浅黒い肌に鋭い眼光、静かに立ち上る炎が見え、まさに精悍という言葉がふさわしいでしょう。しかし、父や夫を殺され、明成への復讐に燃える女たちをいくら鍛えたところで、七本槍に勝てるはずはありません。そこで十兵衛は女たちに、武芸だけでなく、軍学を教えることにしたのです。

 低い重心から繰り出す礼さんの殺陣は鋭く、身体能力の高さがいかんなく発揮されています。ただ強さに任せて戦うだけでなく、女を盾に取られると潔く刀を捨てるなど、弱者はとことん守る優しさにもあふれる十兵衛。弟子となった7人の女たちが互いに嫉妬するなど、モテモテ状態になるのも無理はありません。強くて優しく、皆に慕われる十兵衛の姿は、礼さん自身にも重なって見えるようでした。

◆公演情報◆
『柳生忍法帖』『モアー・ダンディズム!』
2021年9月18日(土)~11月1日(月) 宝塚大劇場
2021年11月20日(土)~12月26日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
『柳生忍法帖』
原作:山田風太郎「柳生忍法帖」(KADOKAWA 角川文庫刊)
脚本・演出:大野拓史
『モアー・ダンディズム!』
作・演出:岡田敬二

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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