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加藤和樹インタビュー(下)

アーティストデビュー15周年記念アルバム『K.KベストセラーズⅡ』リリース

真名子陽子 ライター、エディター

加藤和樹インタビュー(上)

15年の道のりをみんなとたどれる選曲に

――9月15日に15周年記念アルバム『K.KベストセラーズⅡ』(2枚組)がリリースされました。DISC1はファンの方からのリクエストを元に、デビューからこれまでに発表してきた楽曲から選曲したセルフカバーを収録、DISC2は名曲のカバー曲集になっています。まずDISC1の選曲はどのようにされたんですか?

 5年ごとに区切ってリクエストしてもらったのですが、自分が歩んできた15年の道のりを曲でも感じられるようにしたいと思って選曲しました。応援してくださっている方たちから、この時にファンになりましたとか、昔の楽曲は知らなかったけれどもすごくいい曲がありますね、といった声をたくさんいただいたので、そういうこともひっくるめてみんなと一緒に15年をたどれるような選曲を意識しました。

加藤和樹=久保秀臣 撮影拡大加藤和樹=久保秀臣 撮影

――今回、すべての曲を一発録りでレコーディングされているんですよね。

 改めてレコーディングをして曲も成長するんだなと思いました。年齢を重ねるごとにいつも感じるんですけれども、今回も久々に昔の楽曲を歌って、こんなアプローチの仕方もあるなとか、単純に声がスムーズに出るようになったとか、じゃあこんな歌い方もできるかなとか、いろいろ感じることができてすごく楽しかったです。

――なるほど。

 10周年で全曲ライブをやった時にも感じたことなんです。何年ぶりに歌った楽曲もたくさんあって、自分の曲なのに思い出せない曲もあったりして(笑)、やっぱり歌わないとダメだなと思いました。バラードは、昔は感情込めて歌うにはどうすればいいんだろうと悩んでいたこともありましたが、ミュージカルをやるようになって、感情の置き方や出し方、表現の仕方を学んだことで、バラードに対してのアプローチの仕方も変わりました。声を張り上げて一生懸命に歌って届けることだけが歌じゃないと思うようになりましたし、全力で歌わなくても届けられる感情や思いがあることを学びました、ミュージカルに出させていただいて。

――お芝居をすることが歌にも反映されているんですね。

 その影響はものすごくありました。あと、振り返ることってすごく大事だなと思いました。フォトブックで生まれた時からのことを振り返って見えてきたことがありますし、自分の成長を自分で感じられるのは大きいですね。成長しましたねって言われても自分ではわからないんですよね、何が変わったのか。でも、昔から関わってくださっている人たちとまた新たに関わると、自分の成長がわかりますし、成長できていると言う実感があることで、この先の5年、10年がさらに楽しみになりました。もっと歌えるようになりたいという欲が出てきましたし。

周りの方々がいろんな影響を与えてくれた

――15周年を経て、自分自身の変化を感じられたんですね。

 そうですね。ただ、自分の変化と言うよりも、周りの方々がいろんな影響を与えてくれたこその変化だと思います。それを与えてくれたマネージャーには感謝していますし、これまで出会った人たちみんなが自分を育ててくれました。本当にたくさんの人と出会ったなと思います。人との出会いって奇跡的なものだと思うんですよね。二度と合わない人もいるかもしれないし、また再び出会うこともあるし。

――再会するとまた違う感覚で向き合えたりしますよね。

 そうなんです。先日、『テニスの王子様』を一緒にやってた人にたまたま会って、あいさつをして少し話してバイバイしたんだけど、その後、仕事で行き詰まってたけど、昔一緒に仕事をしていた和樹に会えてすごく元気をもらったよっていうメールが来て。自分も同じ気持ちだったから、こうやって通じることがあるんだなと思いました。あれ以来一緒に仕事ができていないけれど同じフィールドで戦っていて、あぁひとりじゃないんだなって思えたんですよね。

――同じものを作り上げた仲間がいるってすごく素敵なことですね。そうやって当時の感覚に戻れたり、それが楽曲を書く元になったり。

 自分の中から出てくる感情は限られているので、そういう経験やいろんな方からたくさんもらっていきたいです。

自分の足で一歩を踏み出す大事さを

加藤和樹=久保秀臣 撮影拡大加藤和樹=久保秀臣 撮影

――今回のアルバムには新曲『REbirth』が入っていますが、それはどんな思いで書かれたんでしょうか?

 生まれ変わるという意味ですが、15年経ってアーティストとしてまたここから新たな道を進んでいく、気持ちを新たにするという意味でもあります。リスタートという言い方もできます。歌詞に書きましたが、このコロナ禍で自分を見失ってしまう瞬間があると思うんです。でも自分が自分をあきらめちゃいけない、前に進めなくなってしまう。その中で、自分が気づかなくても、自分のためにやっていることが人にためになっていて、それがまたいつか自分に返ってくると思うんです。まずは自分の足で一歩を踏み出す大事さ、その大切さをこの時期にすごく感じたので、そういう思いを込めて書きました。

――心の隅っこにある機微をとても繊細に書かれているなと。しみじみと聞かせてもらいました。優しいなあと。

 自分が自分自身を諦めてこなかったんです。でも、自分にも甘いんですよ。

――DISC2の5曲はどのように選曲されたんですか?

 ピアノ1本で歌うことを前提に選びました。メッセージ性のあるもの、今のこの時代に伝えたい思いがある楽曲です。『この道を』は特にそういう思いがあります。『いのちの歌』はツアーで歌い続けている楽曲なんですが、どの時代でも伝わるメッセージ、普遍的なメッセージがあって、自分自身もすごく救われたんです、この曲に。

――そうなんですね。

 バンドでのライブが延期になって1人で回ることになった時に、この曲を歌うことで来てくれているみんなとのつながりを再認識できたんです。この状況下で来てくれたみんなと同じ空間を共有することの尊さだったり。だからこそ自分は歌わなきゃダメなんだってすごく思いました。実はこういう状況なので、ツアーをすることにあまり乗り気じゃなかったんです。感染リスクを増やしてしまう場所を、自分が作ることに対する申し訳なさがあって。でもそこで待ってくださっているファンの方、あと、ライブハウスがどんどん潰れていくニュースを聞くとやっぱりすごく辛くて。イベンターの方の声をたくさん聞いていたので、自分の意思だけでやる・やらないを決めるんじゃないなと。いろんな人の支えがあってできることですし、やっぱり伝えなきゃいけないということを再認識したので、そういう思いを届けられる曲をセレクトしたつもりです。

――こういう状況になったからこそ感じられたことってありますね。

 そうでないと今回の『REbirth』はできていなかったです。そういうアーティストさんは多いと思います。役者もクリエイターの方々も、この時期だからことできた作品ってたくさんあると思うんですよね。

◆リリース情報◆
15周年記念アルバム『K.KベストセラーズⅡ』発売中!
初回限定盤:アルバムCD(2枚組)+60Pフォトブック
通常盤:アルバムCD(2枚組)
公式ホームページ

◆ライブ情報◆
Kazuki Kato Piano Live Tour 2021
Petit VOICEFUL WORLD TOUR 2021(※ファンクラブ会員限定)
Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2021-REbirth-
※詳細はホームページでご確認ください
公式ホームページ


◆公演情報◆

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』
東京:2021年9月9日(木)~9月29日(水) 日生劇場
大阪:2021年10月8日(金)~10日(日) フェニーチェ堺 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作曲:Vaso Patejdl
作詞:Eduard Krecmar
脚本:Ivan Hejna
演出:白井晃
[出演]
ダニエル:木村達成・小野賢章(Wキャスト)
アンダーソン:加藤和樹・松下優也(Wキャスト)
ジャック:加藤和樹・堂珍嘉邦(Wキャスト)
グロリア:May’n
ポリー:エリアンナ
モンロー:田代万里生 ほか


〈加藤和樹プロフィル〉
2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴びる。翌年Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。2009年には韓国、台湾、中国でCDデビューを果たし、音楽活動と並行し、舞台・ミュージカル・映像作品にも多数出演。俳優・声優としても活躍の場を広げている。近年の主な出演作品は、『マタ・ハリ』、『BARNUM』、『ローマの休日』、『フランケンシュタイン』、『ファントム』、『怪人と探偵』、『BACKBEAT』、『暗くなるまで待って』、project K『僕らの未来』など。第46回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞。2021年12月に『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、2022年2月~3月に『冬のライオン』への出演が決まっている。
オフィシャルサイト
公式twitter

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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