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劇作家、清水邦夫の言葉を受け継いで

音楽で結ばれた「師弟」、『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』上演

南谷朝子 俳優・シンガーソングライター

ともに見た「音楽劇」の夢

 清水戯曲の特徴は、発声された台詞の持つ独特の美しさにあるとよく言われる。本公演がある度に一枚ずつ出てくる手書きの原稿を待って俳優たちが着席する姿、新しい戯曲を立ち上げていく際の先輩俳優達のもがき方……記憶の中に在るどのシーンもモノ創りの大切な資料として留め置きたい瞬間ばかりだ。

拡大木冬社『弟よ――姉、乙女から坂本龍馬への伝言』(1990年)の舞台
 例えばプロンプターの上手な仲間は重用された。

 舞台に流れている「間」をうまく捉える能力があればこそ役者としても成長できるというのが理由だ。出演する俳優達の「間」を全員が敏感に感じながら戯曲の物語を煮詰めていくのが稽古だった。

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筆者

南谷朝子

南谷朝子(みなみたに・あさこ) 俳優・シンガーソングライター

東京生まれ。成城大学在学中に劇団木冬社に参加し、演劇活動を始める。主な出演作は、木冬社『夢去りて、オルフェ』『哄笑』『楽屋』『弟よ』(清水邦夫作・演出)、二兎社『僕の東京日記』『萩家の三姉妹』、『東京原子核クラブ』(マキノノゾミ作・演出)、劇団桟敷童子『可愛い千里眼』、燐光群『だるまさんがころんだ』、野外劇『日輪の翼』(中上健次原作、やなぎみわ演出)など。映画『赤い橋の下のぬるい水』(今村昌平監督)などにも出演。2004年から音楽活動も始め、ライブのほか、アルバム「ぷりえ~a live album」などを発表。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです