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親と子のバカバカしい読書ゲームのススメ──“コロナの秋”の読書術(下)

「読書の悪口」「家のなかに面出しコーナー」「挫折した本の墓場」……

印南敦史 作家、書評家

子どもと悩みを共有する

 私が訴えようとしていることはきわめてシンプルだ。

 大人が「読めない状態」にあり、子どもも読書に肯定的になれないのだとしたら、親と子は“読書に肯定的になれない”という思いを共有していることになる。しかも、親には多少なりとも「子どもを正しく導かなければならない」という義務感があるから、無意識のうちに「読まないのはけしからん」「読みなさい」と上から語ってしまいがちである。

Early Spring/Shutterstock.com拡大Early Spring/Shutterstock.com

 だが、そういう大人が読めない状態にあるのであれば、説得力など生まれるはずもない。

 だからうまくいかないのだが、それは「親だから、こうあるべきだ」というようなイメージに縛られすぎているからだ。しかし、自分がどのような理想を掲げていようが読めないのは事実なのだから、矛盾が生じるようなやり方は避けるべき。具体的にいえば、頭ごなしに決めつけたり押しつけたりするようなことはしないほうがいいのである。

 だとすれば、「じゃあ、どうしたらいいのか」という問題に直面することになるだろう。そこで選択すべきが、「本、読めないよね」という思いこそを家族間で共有することだ。親としては認めたくないことを認めることになってしまうのかもしれないが、読めないという事実が厳然としてある以上、どれだけ取り繕っても無駄である。

 そこで双方が抱いている同じ悩みこそを共有し、あえて開きなおって「読めない」という事実を受け入れ、「では、これからどうしたらいいのか」について親子ともども考えてみればいいのである。

スマホの弊害

 ちなみに、少し話はそれるが、親の責任は他の場面においても問題化することがある。そのいい例が“スマホ問題”だ。それは私自身が強く感じていることでもある。

 いま高校1年生の娘は小学生時代から本が好きで、放っておいても日に2冊も3冊も読んでしまうような子だった。だから、その時点で彼女に関する読書の悩みは皆無だった。ところが中学生時代にスマホを与えた結果、まったく本に関心を示さなくなってしまったのである。

 それは親にとってショッキングな出来事であったが、しかし

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筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年、東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)など多数。新刊に『遅読家のための読書術──情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、読書する家族のつくりかた──親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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