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『鬼滅の刃』は現代版「能」である~見えないものを見る力を刺激する物語

野菜さらだ コラムニスト/言語聴覚士

録画された映画の出だしで受けた驚き

 放映日の翌日、「どれどれ」と録画した映画を再生し始めて、目に飛び込んできた最初の映像で「なにこれ!」と思った。そして、すぐに「『銀河鉄道999』の車内じゃないか」と驚いた。「この原作者の人は、999の世代なのか?」。そう思って調べるとまだ32歳だという。「銀河鉄道999」は1970年~1990年代にはやりにはやった漫画・アニメだ。1989年生まれの吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏がタイムリーに見ていた年齢ではないだろう。

 「だったらなぜ?」

 その辺りから「これは、全編見てみないと……」という気持ちが芽生えてきたように思う。

 そうして見始めた、いや乗り込んだ「無限列車」。「999」と重なる車内のシーンから始まるが、最初から「鬼」がいきなり登場してきて、主人公たちはそれぞれの夢の世界と現実の世界をかなりの頻度で行き来する。それに「鬼、鬼」とは言っているが、桃太郎の鬼ヶ島にいるような「ザ・鬼」ではない。むしろ「妖怪」と言った方がいいくらいの「鬼」たちだ。

 そして、話の展開もいわゆる起承転結で展開するというよりは、かなり唐突だ。主人公たちの夢の中で「無意識」の領域が出てくるわ──フロイトか?──、その次には「核」を探せ──細胞の話か?──となるわ、あちらこちらで見聞きしたような様々な理論や話が頭を過(よ)ぎる。こうやって何度も幻想の世界に行くシーンを見ているうちに、

 「これは、能の世界ではないのか」

 という言葉が心の中に浮上する。

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筆者

野菜さらだ

野菜さらだ(やさいさらだ) コラムニスト/言語聴覚士

本名・三田地真実(星槎大学大学院教育学研究科教授) 教員、言語聴覚士として勤務後、渡米。米国オレゴン大学教育学部博士課程修了(Ph.D.)。専門は応用行動分析学・ファシリテーション論。2016年からオンライン会議システムを使ったワークショップや授業を精力的に行っている。著書に『保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック』など。教育雑誌連載と連動した 「教職いろはがるた」の動画配信中!

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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