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【公演評】月組『LOVE AND ALL THAT JAZZ』

ナチス政権下で自由を求めたジャズピアニストに、風間柚乃がバウホール初主演で挑む

さかせがわ猫丸 フリーライター

 月組公演バウ・ミュージカル『LOVE AND ALL THAT JAZZ』…ベルリンの冬、モントリオールの春が10月7日、宝塚バウホールで初日を迎えました。この作品は、ナチス政権下で禁止されたジャズを愛し続け、ユダヤ人の娘を守るために命をかけたドイツ人ピアニストの物語で、ジャズの名曲にのせたオリジナルミュージカルです。

 演じる風間柚乃さんは100期生で、初のバウホール主演となりました。これまでも舞台度胸と実力が高く評価され、すでに月組ではなくてはならない存在になっています。バウ初ヒロインのきよら羽龍さんとともに実力派コンビで挑み、完成度の高い舞台となりました。(以下、ネタバレがあります)

タキシードを着こなす風間

『LOVE AND ALL THAT JAZZ』公演から、風間柚乃=岸隆子 撮影拡大『LOVE AND ALL THAT JAZZ』公演から、風間柚乃=岸隆子 撮影

 風間さんはまだ研8ながら演技力には定評があり、すでに大劇場公演やドラマシティ公演でも主要な役をつとめています。なにより2018年の大劇場公演『エリザベート』において、突然の代役でルキーニをつとめたことは大きな経験値となったことでしょう。そんな風間さんが満を持して挑むバウホール初主演は、なんと早々にネット配信も決定、期待の高さを物語っています。

――第二次世界大戦下のベルリンでは、ナチスの台頭によりジャズが禁止されていた。ドイツ人ジャズピアニストのルーカス・ボルクマン(風間)はそれでも一人、ジャズクラブに残り続けている。そんなある日、店にレナーテ・ヤニングス(きよら)が飛び込んできた。彼女がユダヤ人と察したルーカスはとっさに楽屋にかくまうが、ナチス親衛隊のエーリッヒ・ゾマー(礼華はる)らがやってきて、見つけ出されてしまう。だが、ルーカスはレナーテを歌手志望の娘だと機転をきかし、その場を逃れるのだった。

 ルーカスは純粋にジャズを愛し、必死に守り続けていました。そんな彼にピンチが訪れても、必ず周囲の人間が助けてくれます。それは有名なジャズピアニストだからではなく、彼の素直であたたかな性格が人々を魅了するからでした。風間さんはそんなルーカスのやさしさが、全身からにじみでるように演じています。

 さらに軍服や革のロングコートを始め、総ラメタキシードまでばっちり着こなしています。その堂々としたたたずまいは、もはや若手と呼ぶのをためらうほど。ジャズの名曲からバラード、昭和風メロディーの主題歌まで、伸びやかな歌声で聞かせ、実力の高さも存分に披露しました。

◆公演情報◆
『LOVE AND ALL THAT JAZZ』…ベルリンの冬、モントリオールの春…
2021年10月7日(木)~18日(月) 宝塚バウホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:谷正純

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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