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ファスト映画・倍速視聴、「タイパ至上主義」が奪うもの

「情報」ばかりを追い求め、取り逃がす「体験」

天野千尋 映画監督

「説明セリフ」がダメな理由は

 だがそもそも、一体なぜ説明セリフはダメ扱いされてきたのだろうか。私が考えるに、それは映画というものが、もともと「情報」ではなく、「体験」を提供するものとして作られてきたからだと思う。

 私たちは映画を見るとき、キャラクターの心情に共感したり、場面のスリルや迫力を味わったりと、エモーションの「体験」を楽しんでいる。

 たとえば、黒澤明監督「生きる」のワンシーン。

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筆者

天野千尋

天野千尋(あまの・ちひろ) 映画監督

1982年生まれ。約5年間の会社勤務ののち、2009年に映画制作を開始。ぴあフィルムフェスティバルを始め、多数の映画祭に入選・入賞。主な作品に、WOWOWドラマ『神木隆之介の撮休』監督、土ドラ『僕の大好きな妻!』監督、アニメ『紙兎ロペ』脚本など。長編『ミセス・ノイズィ』が2020年に全国劇場公開。ニューヨーク・ジャパンカッツ観客賞受賞。日本映画批評家大賞脚本賞受賞。自ら執筆した小説版『ミセス・ノイズィ』(実業之日本社文庫)も刊行。 脚本を担当したドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』がNetflixで配信中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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