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都道府県「魅力度ランキング」にぬか喜び・落胆するのはほどほどに!

世間で行われる“アンケート調査”への疑問

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 今年もまた、都道府県「魅力度ランキング」が公表された(朝日新聞2021年10月10日付)。それを見る限り、去年(2020年)同様に上位よりもむしろ下位、最下位が話題になっている。同ランキングについては、これまでかなり報道されており、下位もしくは最下位にランクづけされた県では、知事や職員がかなり神経をすり減らしていると感じられた。

2021年の「魅力度ランキング」で44位だった群馬県の山本一太知事は、「根拠の乏しいデータで、県のイメージにマイナスの影響を与える可能性がある」と、法的措置の可能性にも言及した=2021年10月12日拡大2021年の「魅力度ランキング」で44位だった群馬県の山本一太知事は、「根拠の乏しいデータで、県のイメージにマイナスの影響を与える可能性がある」と、法的措置の可能性にも言及した=2021年10月12日

 昨年、最下位と評価された栃木県の知事は、ランキングを公表したA社に指標の適正さについて直談判に行き、40位だった群馬県の知事は、同ランキングの検証チームを県庁内に設置したという(同2020年11月19日付)。一方、それまで最下位が続いた茨城県は、結果を逆手にとって、観光PR誌『魅力度最下位の過ごし方』を作った。

 いずれにせよこの騒ぎに私は苦笑してしまう。なぜなら、「魅力度ランキング」には学問的に見て多々問題があるからである。

アンケート調査は難しい

 世間では各種のアンケート結果が公表され、利用されているが、本来、アンケート調査は素人にできるような代物ではない。同調査法は1930年代からの苦渋に満ちた試行錯誤・理論化の努力の上にはじめて定着したのであって、これを実施するには、それなりの訓練と経験が必要である。

 だが「魅力度ランキング」を含めほとんどのアンケート調査は、学問的成果を無視しているように見える。いやそもそも調査者が、それを知らないことが多いように思われる。

 以下、主に抽出法にふれながら(字数の都合上、調査票作成法・調査票回収後の分析法等までは扱えない)、同上ランキングを含むアンケート調査の問題性について記してみたい。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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