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パルコ・プロデュース2021『ザ・ドクター』に出演、宮崎秋人インタビュー(上)

カンパニーによって全く違う作品になっていくんだろう

橘涼香 演劇ライター


 2019年にロンドンのアルメイダ劇場で開幕するやいなや、チケットが連日のSOLD OUTとなり、ザ・ガーディアンをはじめとした各紙でFIVE STAR★★★★★(最高評価)の絶賛を得て、翌2020年英国で最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞「Best New Play(作品賞)」「Best Actress(女優賞)」のノミネートをはじめ、イギリス演劇賞各賞に輝いた、いま最も旬な社会派会話劇『ザ・ドクター』。

 この大注目の作品が、演出に栗山民也、主演に大竹しのぶを迎え、パルコ・プロデュース2021『ザ・ドクター』として日本に初上陸する。彩の国さいたま芸術劇場大ホール(10月30日~31日)、PARCO劇場(11月4日~28日)、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(12月2日~5日)、穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール(12月10日~12日)、まつもと市民芸術館 主ホール(12月18日~19日)、北九州芸術劇場大ホール(12月25日~26日)と、PARCO劇場を中心に、多くの地域で上演される一大プロジェクトだ。

 大竹演じるイギリス最高峰の医療機関であるエリザベス研究所の所長・エリート医師ルースが、ある少女の死をきっかけに、アイデンティティ、宗教、ジェンダー、階級格差などあらゆる社会問題に直面し、研究所内のパワーゲームに巻き込まれながら、医師としての信念を貫きつつ、自分を見つめ直していく怒涛の日々が描かれていく。特に、あくまでも医師としての自分に落ち度はなかったと主張するルースが、作品後半でテレビのディベート番組での壮絶な会話の応酬の場面で、ルースを取り巻く研究所の医師たちや、事件のキーパーソンでもあるカトリックの神父を演じた役者たちが、ルースと対立するパネリストや、番組のホスト役を二役で演じることで、現代社会の縮図と苦悩を切り取り、あぶり出していくという、これまでにない新たな演劇空間が大きな見どころともなっている。

 そんな作品で橋本さとし、橋本淳、那須凜、久保酎吉と共に、研究所のエリート医師たちのひとり、マイケル・コプリーを演じる宮崎秋人が、新たな舞台への意気込みや、大竹しのぶとの共演、栗山民也の演出、更にはじめて立つPARCO劇場への期待を語ってくれた。

無意識下で自分が思っていたことにハッとさせられる

宮崎秋人=森好弘 撮影拡大宮崎秋人=森好弘 撮影

──『ザ・ドクター』という、大変様々な問題提起がなされている作品かと思いますが、いまお稽古はどの段階まで進んでいらっしゃるのですか?

 いまは本読みをしている段階です。(取材日時点)立ち稽古に入ってくると、演出の栗山民也さんが目指しておられることなども、さらにわかってくるのかなと思っています。

──そうした時点で、いまこの作品についてどう感じていらっしゃいますか?

 おっしゃってくださったように、多くの問題提起がある作品ではあるのですが、例えば人種の違い、信仰の違いなどは、日本人としては日常的にいつも考えているというものではないのかなと。でも、自分で戯曲を読んでいたときからそうでしたが、本読みをしているなかでも、あ、僕はこんな風に考えていたのか。と、改めて気づかされるものがあって。自分の立ち位置と言うのか、無意識に思っていたものにハッとさせられる作品なんです。ですからきっとご覧になるお客様も、作品を通して自分自身に向き合う、多くの発見がある舞台になると思います。自分としても日常に身を置いているときに発見があったりするので、自分の普段の語気、姿勢、歩き方など、色々なことを意識しながら生活しています。セリフを「自分の言葉」として発するのが、最大のテーマです。

宮崎秋人=森好弘 撮影拡大宮崎秋人=森好弘 撮影

──そのなかで演じる役柄についてはどうですか?戯曲にこの役を演じた人がこの役もやってくださいという指定がある二役になっているのが特徴的ですが。

 そうですね。ひとつは主演の大竹しのぶさんが演じるエリザベス研究所の所長ルース・ウルフの同僚の医師マイケル・コプリー。もうひとつは研究所内で亡くなった少女についての問題が大きくなっていった時に、ルースが出るテレビのディベート番組のホスト役を演じますが、それぞれ全然違う役だなと感じていて。この戯曲っておそらく演じる人によって、作品に取り組むカンパニーによって全く違うものになっていくんだろうと思うんです。二役の指定にしても、じゃあどうしてなのかの理由は戯曲に書かれていないので、すごく委ねられているなと感じますね。

◆公演情報◆
パルコ・プロデュース2021
『ザ・ドクター』
埼玉:2021年10月30日(土)~31日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
東京:2021年11月4日(木)~2021年11月28日(日) PARCO劇場
兵庫:2021年12月2日(木)~2021年12月5日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
豊橋:2021年12月10日(金)~2021年12月12日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
松本:2021年12月18日(土)~19日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
北九州:2021年12月25日(土)~26日(日) 北九州芸術劇場 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:ロバート・アイク
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
[出演]
大竹しのぶ
橋本さとし 村川絵梨 橋本淳 宮崎秋人 那須凜 天野はな 久保酎吉
明星真由美 床嶋佳子 益岡徹


〈宮崎秋人プロフィール〉
2011年役者としてデビュー。舞台・映画・ドラマと幅広く活躍。主な出演作品に、舞台『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』『冬の時代』『阿保浪士』、テレビドラマ『漂着者』『彼女はキレイだった』『世にも奇妙な物語』『未満警察ミッドナイトランナー』などがある。2022年1月より舞台『マーキュリー・ファー』に出演。
公式Twitter
公式Instagram

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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