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本質を語る〈黙・遅〉、太田省吾の演劇つなぐ使命

杉原邦生が『更地』『水の駅』を演出

杉原邦生 演出家、舞台美術家

人間の本質を描き出す「遅さ」と「沈黙」

 太田さんの創作した「遅い」演劇は、時代の流れに逆行している。だからこそ、僕たちが見落としてしまっている生活の細部や、社会全体が見失ってしまっていることなどに気づかせてくれます。

 特に「沈黙劇」では、言葉を使わず、ゆっくりした動きを通して、日常のスピード感では見えてこない、人間の存在や行動の理由、人間同士の交わり、コミュニケーションといった本質的なことを示すことができる。

 そうしたことは、作品が発表された30~40年前でも既に社会が見失っていたものだったのでしょうが、今の僕らは、そこからさらにスピード感・リズム感を増した社会で生きています。SNSやインターネットの発達によって、人間同士が直接触れ合うわけではないコミュニケーションツールも急速に発達してきた。そんな現代に、人間本来の姿・あり方・接し方を再認識させてくれる太田作品の重要性は、ますます増している気がします。

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筆者

杉原邦生

杉原邦生(すぎはら・くにお) 演出家、舞台美術家

1982年生まれ。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映像・舞台芸術学科卒業、同大学院芸術研究科修士課程修了。在学中から舞台演出を手掛け、2004年からプロデュースカンパニー「KUNIO」主宰。イヨネスコ作『椅子』、上演8時間半を超える『エンジェルス・イン・アメリカ』などを手掛け、17年まで企画員として参加した木ノ下歌舞伎の『勧進帳』はパリ公演でも高く評価された。スーパー歌舞伎Ⅱ『新版オグリ』、KAAT神奈川芸術劇場『オレステスとピュラデス』、PARCO劇場オープニング・シリーズ『藪原検校』など幅広い作品を演出している。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです