ミュージカル『ボディガード』に再チャレンジ、内場勝則インタビュー(下)
新しい風も入ってくる再演、カンパニーが一つになるのは早いと思う
小野寺亜紀 演劇ライター、インタビュアー
柚希さんの足の高さ、新妻さんの声の高さは同じ。すんごい迫力
――レイチェル役は、初演では柚希礼音さんと新妻聖子さんのダブルキャストで、お二人は再演も続投されます。柚希さん、新妻さんとお芝居をされていかがでしたか?
元宝塚トップスターの柚希さんはダイナミック! ダンスがめちゃくちゃダイナミックなんですよ。ブユーン!って、2階から足が下りてくるような感じ(笑)。新妻さんは声が素晴らしいんですよ! どこから声が出てるんやろうって思います。柚希さんの足の高さと、新妻さんの声の高さは同じですね。すんごい迫力です。
――稽古場からそれを間近で観ていて、感動されたのですね。
はい、どうお笑いや芝居を頑張ろうが、やっぱり歌や音楽の感動には勝てないですよね。

内場勝則=久保秀臣 撮影
――でもミュージカルは、歌やダンス、芝居が織り交ざっての良さがあると思います。そういうミュージカルの素晴らしさも、実感されたのではないでしょうか。
そうですね、確かにミュージカルは芝居で感動させて、歌やダンスでハイにさせて、というような、トータル・エンターテインメントですよね。いろんな役者さんが入り、全部が詰まっているから、ミュージカルはおもしろいんでしょうね。
――もし今後またミュージカル出演の依頼があったら、やってみたいですか?
作品の内容にもよりますけど、まあ、ちょっと華を添えられればと思います(笑)。
――この舞台では、カーテンコールでの見せ場もありますね。
一応あれ、歌ってるんですよ。声は出してるんです。ダンスもちょっとは踊ってます(笑)。初演のカーテンコールでは、キャストも「公演ができた!」という喜びで、グワーっと盛り上がりましたね。
周りの期待が大きくなりすぎて「もう勘弁して」(笑)

内場勝則=久保秀臣 撮影
――今回、レイチェル役で新たにMay J.さんが加わり、トリプルキャストとなりますがいかがですか?
最初それを聞いてびっくりしました。「3人!?」って。May J.さんとも初めてですが、柚希さんと新妻さんが全然違ったように、三人三様で個性が違うレイチェルでしょうし、すごい楽しみですね。
吉本新喜劇の座長をやっていた時、僕らも辻本(茂雄)くん、石田(靖)くんと同じ役を日替わりでやったことがあって、常に比べられプレッシャーでした。周りのキャストから、「あいつはこうやった」と耳元で囁かれるんですよ。そんな“耳元で囁かれる座長”、いてます!?
――(笑)。でも鍛えられたのではないですか?
そうですね。だから今回もすごい楽しみです。
――レイチェルとのお芝居で、印象に残っているシーンはありますか?
化粧前のシーンや、リラックスしてるキッチンのシーンですね。キッチンでレイチェルが、危ないのに外に食事に行きたい、と言って、「わかった、代わりに俺が作る……なんでやねん!」みたいな。そういう芝居を稽古の時から毎回変えてたんですよ。
――毎回違ってたんですね!
ちょっと周りの期待が大きくなりすぎて、「もう勘弁して」とも思ったけど(笑)、バッと笑いが起きたらええかなと思ってました。
◆公演情報◆
ミュージカル『ボディガード』
大阪:2022年1月21日(金)~31日(月) 梅田芸術劇場メインホール
東京:2022年2月8日(火)~19日(土) 東京国際フォーラム ホールC
公式ホームページ
公式Twitter
ワーナー・ブラザース映画「The Bodyguard/ボディガード」
(1992年米国1993年日本公開 ホイットニー・ヒューストン、ケビン・コスナー主演)
[スタッフ]
原作:ローレンス・カスダン
脚本:アレクサンダー・ディネラリス(「バードマン」でアカデミー賞受賞)
訳詞:森雪之丞
翻訳:阿部のぞみ
編曲:クリス・イーガン
演出・振付:ジョシュア・ベルガッセ
[出演]
柚希礼音・新妻聖子・May J.(トリプルキャスト)、大谷亮平/AKANE LIV、入野自由、猪塚健太、大山真志/内場勝則 ほか
〈内場勝則プロフィル〉
1982年にNSCに入学。第1期生で同期にダウンタウン、トミーズ、ハイヒールなどがいる。1985年から吉本新喜劇に出演するようになり、1999年に座長に就任。2019年に座長を退き、ベテラン座員として若手を支える立場に。「陸王」や「下町ロケット2」などのテレビドラマや外部の舞台にも出演し、活躍の幅を広げている。
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