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【公演評】宙組『プロミセス・プロミセス』

優しく、チャーミングに!芹香斗亜がブロードウェイ・ミュージカルに挑戦

さかせがわ猫丸 フリーライター


 宙組公演ブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス・プロミセス』が、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕しました(18日まで。11月30日~12月7日/東京建物Brillia HALL)。

 今作品は、アカデミー作品賞も受賞した映画『アパートの鍵貸します』をベースに、喜劇王ニール・サイモンが脚色したロマンチック・コメディで、1968年の初演時にはいきなり1281回のロングランを達成した名作です。アメリカ音楽界の名コンビ、作曲家バート・バカラック氏と作詞家ハル・デヴィッド氏による楽曲と、軽快なセリフのやり取りも心地よく、ブロードウェイ・ミュージカルらしさがいっぱい。このたび、新しい時代の演出も加えた大人のコメディに挑戦するのは、宙組のスターとして今、もっとも輝きを増す芹香斗亜さん。これが3度目の東上主演公演となりました。

 冴えないサラリーマン、チャックは優しくてお人好しだけど、いざというときはガツンと男らしくなる日が!……くるのか? もどかしくて、でもとってもチャーミングな主人公が、芹香さんの魅力を最大限に引き出しました。(以下、ネタバルがあります)

芹香の可愛らしさに胸キュン

――ニューヨークの総合保険会社で経理を担当するチャック(芹香)は、まじめだが存在感が薄く、気になる食堂係のフラン(天彩峰里)にもまったく相手にされていない。だが、未来への野望は持っていて、人事部長シェルドレイク(和希そら)の目にとまるよう、毎日、数十分だけ残業にも精を出していた。そんなある日、宣伝部重役のマイク(松風輝)から、昇進への口利きと引き換えに、妻以外の女性との密会用に部屋を貸してほしいと頼まれる。困惑しつつも承諾すると、他の重役のジェシー(紫藤りゅう)らも便乗し、ついにチャックは週4日、アパートの鍵を貸し出すことになってしまう。

 芹香さん演じるチャックはごく平凡なサラリーマン。毎朝、決まった時間に起き、満員電車に揺られ、一生懸命頑張っているのに、フランに存在さえ認識されていないのが気の毒で仕方ありません。

 でも、チャックはマイペース。いつかきっと自分は栄光をつかむ、という漠然とした夢を持ち、へこむことがあってもひきずったりはしません。重役たちにいいように振り回されても、結局許してしまう優しさのかたまりのような人なのです。

 そんないじらしさの連続に、思わず胸キュンさせられてしまうチャックは、芹香さんの持ち味にハマりすぎていました。愛らしい顔立ちも相まって、客席に語りかけるスタイルにも、共感を呼び起こされてしまいます。抜群のスタイルにスーツが映え、情けなさとは裏腹なカッコよさも、相乗効果をもたらしていたかもしれません。

 自分の影が薄いことを思い知らされても、フランに冷たい仕打ちを受けても、チャックは決して悪い方にはとらず、常に相手を思いやることを優先してしまう。「少しは言い返したり、怒ったりせんのかい!」と、もどかしくなるのですが、そのやさしさがチャックのいいところなのでしょう。フランに会うと、自動的に勝手な妄想を展開してしまうのもオタクっぽくて面白い。知れば知るほど、チャックの人柄にみんなが引き込まれていくようでした。

◆公演情報◆
『プロミセス、プロミセス』
PROMISES, PROMISES
Book by Neil Simon
Based on the Screenplay THE APARTMENT by Billy Wilder and I.A.L. Diamond
Music by Burt Bacharach Lyrics by Hal David
Produced for the Broadway Stage by David Merrick
2021年11月13日(土)~11月18日(木) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2021年11月30日(火)~12月7日(火) 東京建物 Brillia HALL
公式ホームページ
[スタッフ]
翻訳・演出:原田 諒

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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