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世界的な人口減少時代がやって来る──『世界100年カレンダー』の衝撃

駒井 稔 編集者

 つい最近、自分の書棚で『ジャパン アズ ナンバーワン──アメリカへの教訓』(エズラ・F・ヴォ―ゲル、広中和歌子・大本彰子訳)を見つけました。1979年に日本で刊行されたこの本は、今でも1980年代の日本の経済的成功を語る時によく引き合いに出されます。パラパラとページをめくっていると、隔世の感というか、なによりも副題の「アメリカへの教訓」という今となってはあまりに皮肉な表現が印象に残りました。

 「デジタル敗戦」「安いニッポン」などという言葉が飛び交う現代からみると、今は高齢者になった当時30代の団塊世代がバリバリ働いていた時代でした。「ウサギ小屋に住んで蟻のように働く」と外国人から揶揄されても「日本は世界第2位の経済大国なんだ」と社会全体が希望と活力に満ちていたあの頃が何だか嘘のようにも思えてきます。

 我が国における急激な少子高齢化と人口減の危機に警鐘を鳴らした『未来の年表──人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)は、そういう「良き時代」を知っている世代にとっては衝撃的でした。2017年に作家でジャーナリストの河合雅司さんが書いてベストセラーになった新書ですが、それを読んで友人たちと話したのは、私たちのような1950年代の中庸に生を享けた人間たちには、そこで明らかにされる急激な人口減少という日本の未来像に衝撃を受けるとともに、ある種の違和感を覚えるということでした。何故なら、人口は爆発的に増え続けて、人類は食糧やエネルギー不足に悩まされるという共通認識が20世紀の後半まで存在した印象があったからです。

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筆者

駒井 稔

駒井 稔(こまい・みのる) 編集者

1979年、光文社入社。1981年、「週刊宝石」創刊に参加。1997年に翻訳編集部に異動になり、書籍編集に携わる。2004年に編集長。2年の準備期間を経て2006年9月に古典新訳文庫を創刊。「いま、息をしている言葉で」をキャッチフレーズに古典の新訳を刊行開始。10年にわたり編集長を務めた。筋金入りの酔っ払いだったが、只今禁酒中。1956年、横浜生まれ。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです