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学習性無力感が日本の衰退で強まり、低い投票率と野党伸び悩みを招いている

参画と議論なき環境では政治的な「自己効力感」は育たない

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 2021年10月31日に行われた衆議院選挙は、与党の自民党・公明党が過半数を制し、野党第一党である立憲民主党や、共闘を組んだ共産党は議席を減らすという結果に終わりました。投票率も55.93%と、前回よりは向上したものの戦後3番目に低く、諸外国と比べても異様に低い状態が続いています。

 また、この選挙結果を受けて、立憲民主党の枝野幸男代表は辞任を表明し、11月30日に代表選が行われます。ところが、こちらはさらに盛り上がりが見られません。野党第一党が政権交代の選択肢として国民に認知されないままでは、次回の国政選挙でも投票率の向上はかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。

 そこで、どのようにして国政選挙の投票率を上げるか、とりわけ野党が、「政権に批判的であるにもかかわらず投票に行かない層」に投票所へ足を運んでもらうにはどのようにすればよいかについて、解決策を考えたいと思います。まず今回は低投票率の原因を分析することにしましょう。

低投票率の背景にある「政治的学習性無力感」

DesignRage/Shutterstock.com拡大DesignRage/Shutterstock.com

 まず、低投票率の背景として様々な要因があり得ると思いますが、「自分が投票しても社会や自分の生活環境は変わらない」という感覚が染みついてしまっている「政治的学習性無力感」が、近年多くの識者から指摘されています。

 「学習性無力感」とは心理学の用語で、抵抗したり回避したりすることができないストレスの渦中に置かれているうちに、そこから逃れようとする行動すら起こさなくなってしまう心理のことです。これと似たような現象が、投票行動においても発生しているというのは、私も概ね同意します。

 「無力感」という言葉の並びから、こういう心理に陥っているのは悲観的な人というイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。たとえば、「(政治は変わらないのだからorコロナ対策なんて誰がやっても大変なんだから)政府への文句ばかり言っていないで、自分のやるべきことをやろう!」といったように、「サバイバル応援型の自己啓発」も、背景には政治への学習性無力感があります。

 また、インターネット上でネット右翼や冷笑アカウントが頻繁に用いる「(政治は変わらないのだから)そんなに嫌なら日本から出ていけばいい」「(政治は変わらないのだから)そんなに嫌なら自分が立候補すればいいだけ」という論調も同様です。彼らは変わらないと信じ込んでいるからこそ、「変わらないことを理解していないように見える人たち」をバカにしているわけです。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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