勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
野党はまず自分たちの組織を改革してロールモデルになろう
選挙の投票率が低いのは、国の衰退によって強まっている「政治的学習性無力感」が大きな要因である。前回の記事『学習性無力感が日本の衰退で強まり、低い投票率と野党伸び悩みを招いている』では、そのような話をしました。
学習性無力感が日本の衰退で強まり、低い投票率と野党伸び悩みを招いている
つまり、学校や職場等、人生の様々な場面で、議論を通じて組織の意思決定に参画するという経験を得にくい日本社会では、「社会は変わるんだ」「自分たちで変えられるんだ」という意識が持ちにくい。そこに、近年の国家衰退や人口減少が拍車をかけているため、政治に不満を持ちながらも投票を棄権するという仮説です。
これを受けて今回は、有権者の政治的学習性無力感をどのようにすれば解消できるか、とりわけ野党が野党という立場のままでもできる解決策を考えたいと思います。
まず、野党自ら有権者に「政治的学習性無力感」を与えてしまう行動は、絶対に避けなければなりません。社会と彼らを変えようと思うのなら、まずは自分たちが変わってみせる必要があるのです。しかし、残念ながら「党の内部が変わっていない」と感じることがいくつかあります。
たとえば、ジェンダーの問題が典型例でしょう。野党の多くは、自民党・公明党よりも女性候補者の擁立に積極的に取り組んでいるのは確かであるものの、改革スピードは遅く、「男性がメインの組織」を払拭できていません。
党幹部や国政選挙の候補者にクオータ制を導入した社民党を除くと「パリテ(男女半々)」にはほど遠く、立憲民主党の代表選でも、マスメディアで名前が取りざたされたのは、当初から男性ばかりでした(※女性候補がいないという批判の声が上がったのち、ようやく西村智奈美氏が立候補を表明しました)。
「組織内ジェンダー平等」を実現できていない政党がいくら社会のジェンダー平等を叫んでも、有権者が「この政党が政権を担えば変わるんだ!」という実感が持てないのも当然ではないでしょうか。