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大型スーパーでは、各種バリアが高齢者を待ちうける

広すぎる店内、動かないエスカレーター、階段、段差……

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

カゴを移す困難

AsiaTravel拡大AsiaTravel/Shutterstock.com

 商品がたくさん入ったカゴは、レジでカートから降ろせないことがある。杖等をかかえるために両手でカゴを持てないこともある。レジで難儀している高齢者を時に見かけるが、他の買い物客の善意がなければ(残念だが皆が皆、手を貸してくれるとは限らない)、高齢者はその場でかなりの労苦を強いられる。

 精算後、カゴをカートに戻す時も同様である。レジ係がサッカー台(商品をつめかえる台)まで運んでくれることも多いが、そうしてもらえなければ立ち往生する。買い物客が男性であれば、一般に運んでもらえる可能性は少ない。

 ちなみに、苦労をするのは高齢者だけではない。最近、精算台で商品が色違いのカゴに入れ替えられることが多いが、そのカゴには取っ手がついていないことがある。万引きを防ぐための処置であろうが、これが買い物客に不便を強いている。

 取っ手があれば片手でもカゴを運べるが、取っ手がなければ両手を使うしかない。だが誰もが両手が空いているわけではない。あるスーパーが取っ手のないカゴを採用した際、腕にギプスした女性(25歳前後)が、連れに、「要するに私らには買い物をするなってことね」、ともらすのを耳にしたことがある。

 両手が使えない客のことを、店側はどれだけ配慮しただろうか。そもそも両手が使えようが使えまいが、取っ手を腕にかけた方が楽である。重い荷物を両手でおなかの前に抱えれば、その悪影響は腰にくる。

レジ・サッカー台での苦労

 高齢者を苦しめるバリアの一つは、レジでのあわただしさである。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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