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中村吉右衛門さん、時代劇の軌跡──花房出雲、武蔵坊弁慶、鬼平

ペリー荻野 時代劇研究家

夫と父の顔を見せた、豪放にして心優しい弁慶

 もうひとつの人気作品が86年4月から12月までNHKで放送された「武蔵坊弁慶」である。原作・冨田常雄。制作は「天下御免」、「御宿かわせみ」、大河ドラマ「武田信玄」などで知られる村上慧。音楽は芥川也寸志、語りは山川静夫アナウンサーが担当。大河ドラマ並みの「新大型時代劇」であった。

 暴れ者の武蔵坊弁慶(吉右衛門)は、京の五条大橋で源義経(川野太郎)と運命的な出会いを果たし、義経の従者となる。平家打倒の死闘に勝利した弁慶らだったが、味方のはずの源頼朝(菅原文太)から、義経討伐の命が下り、追い詰められていく。この弁慶の大きな特長は、幼なじみの女・玉虫(荻野目慶子)と恋に落ち、娘・小玉虫(高橋かおり)を授かり、夫と父の顔を見せること。吉右衛門さんは豪放にして心優しい弁慶を熱演。死を覚悟しながら、最愛の女と愛娘にあてて、自分を追って北国へ来るなら「しもやけの薬を忘れずに」などと手紙を残す場面は泣ける。

 放送当時、来日したチャールズ皇太子とダイアナ妃夫妻がNHKの撮影現場を見学したことでも話題になった。場面は、壇ノ浦の戦いを前に、弁慶と玉虫の別れの場面。同時通訳でセリフや物語の流れを聞いた皇太子は

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筆者

ペリー荻野

ペリー荻野(ぺりー・おぎの) 時代劇研究家

1962年、愛知県生まれ。大学在学中よりラジオパーソナリティを務め、コラムを書き始める。時代劇主題歌オムニバスCD「ちょんまげ天国」のプロデュースや、「チョンマゲ愛好女子部」を立ち上げるなど時代劇関連の企画も手がける。著書に『テレビの荒野を歩いた人たち』『バトル式歴史偉人伝』(ともに新潮社)など多数。『時代劇を見れば、日本史はかなり理解できる(仮)』(共著、徳間書店)が刊行予定

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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