2021年12月10日
天皇陛下と皇后雅子さまの長女愛子さまは12月5日、成年の行事に臨んだ。午後にはローブデコルテ姿で報道陣の前に立ち、「おめでとうございます」「ありがとうございます」というやりとりの後も、撮影は1分余り続いた。その間、カメラが追ったのはにこやかな愛子さま、そしてティアラだった。
コロナ禍で国民生活に影響が出ていることを考慮し、ティアラの新調を見送ると宮内庁が明かしたのが11月16日。叔母にあたる黒田清子さんから借りるという説明は「素敵」「堅実」と世論の評価を得たわけだが、同時に「事情はわかるが、作っていただきたかった」といったコメントもワイドショーなどではされていた。
明るいことばかりでないのが、最近の社会と皇室だ。その点、ティアラは借用しても新調しても、華やかで明るい。だから、世の中が競うように盛り上げた。そんな気もしている。朝日新聞も行事を伝える記事(2021年12月6日朝刊)で、ティアラについての宮内庁の見解に触れた。「今後も、しばらく黒田さんのティアラを借りて儀式などに出るといい、同庁は『状況をみながら新調するかどうか検討していく』としている」そうで、ティアラはこれからも注目されることになりそうだ。
さて、当の愛子さまだ。成年を迎えた女性皇族は記者会見をするのが恒例だが、それは学業が落ち着いた3月になるという。その代わり、誕生日の12月1日に宮内庁が「愛子内親王殿下ご成年にあたってのご感想」を公表した。「多くの学びに恵まれた色濃い歳月であったことを実感いたします」とした上で、多くの人々への感謝を綴る。そういう文章だった。
「今日に至るまで私の歩みに関わってくださった全ての方に深く感謝いたします」に始まり、「成長を見守り、温かい声をお寄せいただいている国民の皆様」へ「厚く御礼申し上げます」と述べた。それから天皇皇后両陛下、次いで上皇上皇后両陛下への感謝の思い。最後にコロナ禍を案ずる気持ちを述べ、「また以前のように皆様とお会いし、お話しできるようになる日を楽しみにしております」と締めた。
最初と最後に「国民ファースト」の姿勢を示す構成で、成年皇族としての所信表明はその間に挟まれていた。紹介してみる。
これからは成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております。そして、日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います。
読んで、少しモヤモヤした。この前日、11月30日は秋篠宮さまの56歳の誕生日で、事前に開かれた記者会見の内容が公表された。それは案の定というか当然というか、小室眞子さんの話題が多くを占めるもので、「公」である皇族と「私」である一個人の関係をどう考えるか。その問題が論じられていた。そして、その根本にある問題が、愛子さまの
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