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spiインタビュー(下)、『Music is Beautiful ~song & danceで綴るラブストーリー~ 』に出演

実力派シンガーとダンサーとの共演

大原薫 演劇ライター


spiインタビュー(上)

僕は舞台上で嘘がつけないんです

――spiさんは様々な作品に出演されていますが、特に印象に残るのは『VIOLET』で演じたヴァイオレットの父親役。不慮の事故によりヴァイオレットの顔に傷を負わせてしまう父親ですが、無骨に振る舞いながらも娘への深い愛情を覗かせる好演でした。

 ありがとうございます。

――spiさんの個性にも合っていらっしゃる役かなと思いました。

 本当にそうで、僕はあまり表に出すタイプでない。僕は本当に思わないと動かないので、この父親役もそのゾーンにはまったのかなと思います。僕は舞台で無駄なことをしない。というか、舞台上であんまり嘘がつけないんですよね。「段取りでそっちに行ってくれ」と言われてもできなくて、「なんで動かないといけないんだろう」と止まってしまうんです。理由がないと動けないんですよね。

spi=森好弘 撮影拡大spi=森好弘 撮影

――今まで演じた中で、ご自分で演じるイメージがなかなか湧かない役はありましたか?

 過去にはありましたね。たとえば(ミュージカル『刀剣乱舞』の)蜻蛉切がそうですかね。日本の武人の「恐れ多い」という繊細な感情を実感するのが難しかった。

――『刀剣乱舞』で演じられているのは生きている人間ではなく、「刀剣」という「物」の役。「物」を演じるということについて、『刀剣乱舞』の出演者の方たちはどうアプローチされているのだろうと気になります。

 みんな、作り方は様々ですね。人間として演じている人もいるし、僕みたいに何も考えないという人もいる。「物」なんだから、(人間のようには)考えないじゃないですか。刀剣だから戦いたいという意識はあるけれど。自分の持ち主の死に直面した悲しさも、自分で理解できていない。なんで泣いてしまうのかわからないんです。赤ちゃんみたいですよね(笑)。僕はそういう作り方ですね。でも、刀剣が人間として顕現した時間の長さによっても違うだろうし、演じ方もいろいろだと思う。

――なるほど、奥が深いですね。

 難しいです。物になったことがないから(笑)。

◆公演情報◆
『Music is Beautiful ~ song & danceで綴るラブストーリー ~』
2022年1月21日(金)~22日(土)  渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
公式ホームページ
[スタッフ]
音楽監督:加畑 嶺
演奏:加畑 嶺 with オレンジ・コレクティブ
演出:浜田和孝
[出演] ※五十音順
〇シンガー
川島ケイジ、spi、當間ローズ、日野真一郎(LE VELVETS)、水夏希、U-key(BOOOST)
〇ダンサー
西島数博(ダンスアーティスト)演出振付/スペシャルゲスト
日髙有梨(牧阿佐美バレヱ団)
清水夏生(タップダンサー)演出振付助手
dancers from ZEAL STUDIOS


〈spiプロフィル〉
5歳頃から、横須賀米海軍のシアターグループに所属し、演技、歌の研鑽をスタート。10代後半からユニットを組み東京都内のライブハウスやイベントスペースなどに出演。また水夏希(元宝塚歌劇団雪組トップスター)とユニット「Guys☆From The Earth」を結成し、ドラマ主題歌などを担当する。その後、更に表現の幅を広げるためにニューヨークに渡り、舞台技術、ヒップホップ、クラシックバレエを学び、現在、ミュージカル、ストレートプレイなどの舞台、また歌手としての単独ライブと精力的に活動中。2021年佐藤流司、福澤侑、心之介らと音楽パフォーマンスユニットZIPANGOPERAを結成。
★公式twitter

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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