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前澤友作さんの宇宙観光は「飛び恥」の極み

宇宙観光を好意的に捉えるメディアと世間の環境意識の低さ

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 衣料品通販大手ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が乗り込んだロシアの宇宙船ソユーズが、2021年12月8日に打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。

 前澤氏は12日間、日本の民間人として初めてISSに滞在する予定です。日本における宇宙観光の幕開けとも言えるこのニュースは、テレビ等の報道でも大々的に取り上げられました。

宇宙観光は、気候危機の観点から見れば「悪行」だ

前沢友作さんらを乗せ、国際宇宙ステーションに向け飛び立つソユーズ宇宙船=2021年12月8日、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地拡大前澤友作さんらを乗せ、国際宇宙ステーションに向けて飛び立つソユーズ宇宙船=2021年12月8日、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地

 ですが、地球環境に負荷を与える様々な物質を排出するロケットでの宇宙観光は、環境問題や気候危機の観点から見れば「悪行」として扱うべきものだと思います。

 たとえば、フランスの宇宙物理学者ロラン・ルゥク氏の分析によると、ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船は乗客1人当たりの二酸化炭素排出量が4.5トンに上るとのことです。これは、2015年のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択されたパリ協定の目標を達するために推奨される1人当たりの年間排出量の倍以上だそうです。また、いくつかの排出物が、オゾン層に悪影響を与える可能性も高いと言われています。

 観光地にキャパシティ以上の観光客が押し寄せることを「オーバーツーリズム」と言いますが、たった1人でも地球環境に大きな負担をもたらす宇宙観光は、その存在自体が「オーバーツーリズム」だと言えるのではないでしょうか。

 環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、移動をする際に二酸化炭素の排出量が多い飛行機を使わずに電車を利用するアクションがきっかけで、飛行機による移動は「飛び恥(フライトシェイム」」と呼ばれるようになり、ヨーロッパの一部の若者の間では、大きなムーブメントとなっています。

 前述の分析が正しいとすると、ロケット旅行の環境への負荷は、飛行機旅行よりもはるかに大きいわけですから、前澤氏のしたことは「飛び恥の極み」「飛び大恥」のように思うのです。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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