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必見! 濱口竜介『偶然と想像』(下)──偶然のもたらす運命

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

二人の女性のやりとりが味わい深い小傑作

第三話「もう一度」

『偶然と想像』の第一話「魔法(よりもっと不確か)」 ©︎2021 NEOPA/Fictive拡大『偶然と想像』(第三話「もう一度」) ©︎2021 NEOPA/Fictive

 高校の同窓会で仙台にやってきた夏子(占部房子)があや(河井青葉)と20年ぶりに偶然街で再会する。あやの家であれこれ思い出話をし、近況を述べあう二人。が、やがて夏子は、あやの口から思いがけない言葉を聞かされ、動揺する……。これまた、プロットの二転三転に驚かされると同時に、二人の女性のやりとりが、誰しも覚えがあるだろう人間関係の機微に触れてくる──痒いところに手がとどくように!──、なんとも味わい深い小傑作だ。

 とりわけ二人の女性が、相手との距離を用心深く測りつつ、話の接点を探るべく“ジャブの打ち合い”的な会話をしながら、ある瞬間にすっと相手の内側に踏み込むところ

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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