丹治吉順(たんじよしのぶ) 朝日新聞記者
1987年入社。東京・西部本社学芸部、アエラ編集部、ASAHIパソコン編集部、be編集部などを経て、現在、オピニオン編集部・論座編集部。機能不全家庭(児童虐待)、ITを主に取材。「文化・暮らし・若者」と「技術」の関係に関心を持つ。現在追跡中の主な技術ジャンルは、AI、VR/AR、5Gなど。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「ソワカちゃんに出逢って人生が変わった」
「ソワカちゃん」シリーズの「元ネタ」とはどんなものか。
第1作「護法少女ソワカちゃん」のごく一部だけ挙げてみよう。
動画の17秒ごろ、ハンドルが高い位置にあるバイクをソワカちゃんが運転する部分、これはピーター・フォンダとデニス・ホッパーが主演した映画「イージー・ライダー」に登場するハーレーダビッドソンのバイク由来と思われる。このバイクの絵柄は、映画のポスターにも用いられ、この作品を象徴する役割を果たした。
動画の33秒ごろの歌詞「私たち、冥府魔道を行くの」、これは小池一夫原作・小島剛夕画の劇画「子連れ狼」に登場する造語で、ソワカちゃんが弟分クーヤンを乗せている乳母車は、この劇画の主人公が息子・大五郎を乗せているものによく似ている。
さらに、動画40秒前後に現れる魔物「使徒使徒ぴっちゃん」の発音は、「子連れ狼」がテレビドラマ化された際の主題歌冒頭で歌われる「しとしとぴっちゃん」というリフレインに由来すると考えられる。実際、飛来してくる怪物の頭部は、「子連れ狼」の大五郎のデフォルメそのものだ。一方「使徒」は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する架空生命体の名称。つまり先ほど触れた「子連れ狼」と「エヴァンゲリオン」のミックスとなっている。
実際、この怪物の胴体から下は、「エヴァンゲリオン」の使徒の一つ「サキエル」を思わせる(だから「しとしとぴっちゃん」ではなく「使徒使徒ぴっちゃん」なのだろう)。
動画1分50秒前後の歌詞「残酷な仏のテーゼ」も、「エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」そのもので、包帯だらけのソワカちゃんは、ヒロインの一人・綾波レイの初登場シーンを連想させる。
下にYouTubeの「残酷な天使のテーゼ」キングレコード公式動画を埋め込んでいる。綾波レイの包帯姿も登場するが、この記事の公開段階では動画に年齢制限が設けられていて、埋め込みのままでは再生できない。ただ、この年齢制限は状況によって変更される場合もあるので、そのまま埋め込むことにした。ご覧になりたい方は、埋め込み枠の中にある「YouTubeで見る」をクリックしてください。
これらの例は、あくまでも一部にすぎない。わずか3分少々の歌とアニメの中に、消化しきれないほどのネタが詰まっている。
この特徴は第1作に限らない。発表される「ソワカちゃん」シリーズの全動画作品に、同様の膨大なネタが隠されている。
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