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初音ミク「護法少女ソワカちゃん」(下)ファンたちの白熱〜奇跡の3カ月(18)

「ソワカちゃんに出逢って人生が変わった」

丹治吉順 朝日新聞記者

探すほどに見つかる「元ネタ」の洪水

「ソワカちゃん」シリーズの「元ネタ」とはどんなものか。

第1作「護法少女ソワカちゃん」のごく一部だけ挙げてみよう。

動画の17秒ごろ、ハンドルが高い位置にあるバイクをソワカちゃんが運転する部分、これはピーター・フォンダとデニス・ホッパーが主演した映画「イージー・ライダー」に登場するハーレーダビッドソンのバイク由来と思われる。このバイクの絵柄は、映画のポスターにも用いられ、この作品を象徴する役割を果たした。

父の死の真相を究明する旅に出るソワカちゃんが乗るバイクのモチーフは映画「イージーライダー」にある拡大父の死の真相を究明する旅に出るソワカちゃんが乗るバイクのモチーフは映画「イージーライダー」にある

映画「イージーライダー」からの画像

「イージーライダー」のGoogle画像検索

動画の33秒ごろの歌詞「私たち、冥府魔道を行くの」、これは小池一夫原作・小島剛夕画の劇画「子連れ狼」に登場する造語で、ソワカちゃんが弟分クーヤンを乗せている乳母車は、この劇画の主人公が息子・大五郎を乗せているものによく似ている。

「冥府魔道」は劇画「子連れ狼」の造語、乳母車も同作に登場するものとそっくり拡大「冥府魔道」は劇画「子連れ狼」の造語、乳母車も同作に登場するものとそっくり

「冥府魔道」を解説したページ

「子連れ狼 乳母車」のGoogle画像検索

さらに、動画40秒前後に現れる魔物「使徒使徒ぴっちゃん」の発音は、「子連れ狼」がテレビドラマ化された際の主題歌冒頭で歌われる「しとしとぴっちゃん」というリフレインに由来すると考えられる。実際、飛来してくる怪物の頭部は、「子連れ狼」の大五郎のデフォルメそのものだ。一方「使徒」は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する架空生命体の名称。つまり先ほど触れた「子連れ狼」と「エヴァンゲリオン」のミックスとなっている。

ソワカちゃんたちを襲う怪物「使徒使徒ぴっちゃん」は、「子連れ狼」の大五郎とアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の「使徒」のハイブリッド拡大ソワカちゃんたちを襲う怪物「使徒使徒ぴっちゃん」は、「子連れ狼」の大五郎とアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の「使徒」のハイブリッド

「子連れ狼 大五郎」のGoogle画像検索

「子連れ狼」のYouTube検索

実際、この怪物の胴体から下は、「エヴァンゲリオン」の使徒の一つ「サキエル」を思わせる(だから「しとしとぴっちゃん」ではなく「使徒使徒ぴっちゃん」なのだろう)。

「サキエル 使徒」のGoogle画像検索

動画1分50秒前後の歌詞「残酷な仏のテーゼ」も、「エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」そのもので、包帯だらけのソワカちゃんは、ヒロインの一人・綾波レイの初登場シーンを連想させる。

下にYouTubeの「残酷な天使のテーゼ」キングレコード公式動画を埋め込んでいる。綾波レイの包帯姿も登場するが、この記事の公開段階では動画に年齢制限が設けられていて、埋め込みのままでは再生できない。ただ、この年齢制限は状況によって変更される場合もあるので、そのまま埋め込むことにした。ご覧になりたい方は、埋め込み枠の中にある「YouTubeで見る」をクリックしてください。

「残酷な天使のテーゼ」キングレコード公式(綾波の包帯姿は25秒ごろ)

これらの例は、あくまでも一部にすぎない。わずか3分少々の歌とアニメの中に、消化しきれないほどのネタが詰まっている。

この特徴は第1作に限らない。発表される「ソワカちゃん」シリーズの全動画作品に、同様の膨大なネタが隠されている。

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筆者

丹治吉順

丹治吉順(たんじよしのぶ) 朝日新聞記者

1987年入社。東京・西部本社学芸部、アエラ編集部、ASAHIパソコン編集部、be編集部などを経て、現在、オピニオン編集部・論座編集部。機能不全家庭(児童虐待)、ITを主に取材。「文化・暮らし・若者」と「技術」の関係に関心を持つ。現在追跡中の主な技術ジャンルは、AI、VR/AR、5Gなど。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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