青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
第3位『東京五輪開会式 生中継』(NHK)
東京五輪の記憶はこれに尽きる、というぐらい衝撃のしょぼさ!
今やもう五輪の記憶も遠くなり、「今年の漢字」は「金」って、テレビでは「史上最高の金メダル獲得」とか言っていたが、今から思えばあらゆる面で疫病神に取り憑かれていたような五輪ではあった。今の新型コロナウイルスの感染状況を考えると、あの夏という季節になぜあれほど感染者が増大してたのかというのもナゾだった。
そんな中、開会式関連のゴタゴタで注目させて、じゃあ見てみるか、これほどゴタゴタ報道でハードル下げてるんだから見てみたら案外悪くなかったりして……と思ったら予想を遙かに上回るというか下回るというか、とにかくスカスカでひどい開会式だった。
とにかく、スタジアムの空間を埋め切れていないのがひどかった。私は日本に限らず、五輪の開会式や閉会式における「その国の伝統芸能を見せる」みたいなものが好きじゃないので、この五輪開会式で、木遣りだの歌舞伎だのが出てきたのはウンザリしたが、これだって完璧に計算された演出で繰り出されれば、好きじゃなくても見られるパフォーマンスにはなったと思う。
それにしても、五輪の開会式なんて、日本が平和的に国威発揚する絶好の機会であり、考え得る最高の頭脳と最大の予算が注ぎ込まれているはずなのに、ちょっとないぐらいのしょぼい開会式になり、それを生中継するNHKが、「いやー、次はなんでしょう」「あ、木遣りですね!」「聖火です!」とか心を殺したように声だけで「今この素晴らしい時間をお届けします!」とやっていたのが、「ほんとにすごい時間を届けてもらってるよ……」と感動した。