女人高野、修験道の霊地、瀬戸内の島、有明の海
2021年12月23日
やっと旅が戻ってきました。
ああ、深呼吸ができる……いやいや、東京の仕事も楽しいんです。でも、旅は格別なんです。
10月は奈良、神戸、山口、新潟。11月は、熊本、高崎、尾道、福岡、久留米、佐賀、長崎、そして鹿児島。今月は静岡へ、あと上越に行きます。
旅の風に吹かれるって……私にとってはとても大事です。
旅ができることが嬉しくて、調子にのって、当日乗り込みでもいいのに、前日に入って遊んでしまったりもしました。
奈良では、山伏でもある説経祭文の渡部八太夫さんと作家の姜信子さんにご案内いただいて、女人高野と言われる室生寺と、赤目四十八瀧へ赴きました。
いずれも修験道と大変ゆかりのふかいところです。
また山伏話? いやあすみませんね。やはり、浪花節のルーツに山伏祭文があるということが深く胸にあり、「修験」と聞くと、なんか反応してしまうんです。
室生寺は開基が修験道の祖・役行者、山岳修行の霊地です。
本堂をお参りしたあと山伏が「奥の院、行っておいで」というので、向かいました。そりゃあ、来たんだから奥の院まで行かなくちゃね、でもなんで山伏は一緒に来ないんだろうと思ったんですが……行ってみてわかった。奥の院は、果てしない……本当に果てしない階段の先にありました。赤目四十八瀧で体力使うだろうから、室生寺では温存と思ってたのに、この奥の院往復で、膝ががくがく笑いました。
私には室生寺に来る動機があるからいいけれど、いい迷惑だったのは、一緒に来た新人曲師の沢村まみ。インドア派の三味線弾きにとっては、意味不明。なぜ自分はこんな階段を上り下りしているのだろうと顔に疑問符を浮かべながら……なのに、私より身軽にひょいひょい階段を上り下りして、最後にはお守りも買ってご満悦でした。
滝から滝へ。
随所で山伏がほら貝を吹き、真言を唱えます。
遠くから、涼やかな滝の水音が聞こえてきて、歩くごとに近づいてくる。
たぎり堕ちる滝、岩をすべるように流れる滝、白糸のようにまっすぐに落ちる滝、そのしぶきを浴び、深い淵の色を眺めながら、それをたどって森の奥へ、奥へ……。
ただただ、のぼる。岩の道を歩く。
これ、観光じゃないよなあ、修行だよなあ(笑)。
尾道の旅は、やはり新人曲師の沢村まみと、後見の東家三楽門下・三可子さんと三人旅。当日乗り込んで仕事をして、宿泊。翌日は帰京するのみ。帰りを夕方にして、それまでの時間少し、遊ぼうと思いました。
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