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パンデミック下の海外公演、自分自身の“分断”を考えた

隔離中のホテルで、自分の中の劇作家と演出家が闘う

タニノクロウ 劇作家・演出家

“自発的な分断”を考える、劇作家の私

 さて、本題に入りたいと思う。

 この『笑顔の砦』という作品は2018年城崎国際アートセンターの製作協力により発表された作品だ。

 主人公は緒方晋さんが演じる蘆田剛史(あしだたけし)、漁船の船長で若い衆と3人でチームを組んでいる。同じ3人で飲んで食って馬鹿話しての毎日。ある日ずっと空室だった隣の部屋に家族が引っ越してくる。認知症を患う母親とその息子の勉(つとむ)、勉の娘の3人だ。

 日に日に病状が深刻になっていく瀧子。そんな瀧子の異常行動を剛史は偶然目撃してしまう。壁一枚隔てた隣り合う二部屋。お互いどのような生活時間が流れているのか知る由もない。しかしそれを期に剛史は隣の部屋が気になってしまう。隣から漏れ聞こえてくる物音にも敏感になり落ち着かない。そんな中、長年苦楽を共にした弟分の一人が仕事を辞めると言い出す。実家の母親が癌になったのだと。剛史はこの先待ち受ける孤独への予感と戦いながら自暴自棄になっていく。そんな話だ。

拡大タニノクロウ作・演出「笑顔の砦」の舞台=堀川高志撮影

 私は劇作家として“自発的な分断”を込めて脚本を書いた。

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筆者

タニノクロウ

タニノクロウ(たにの・くろう) 劇作家・演出家

1976年富山県出身。庭劇団ペニノ主宰。医学部在学中の2000年に庭劇団ペニノを旗揚げ。精緻に作り込んだ舞台美術によって、独特な劇空間とドラマを生み出し、国内外で高く評価されている。16年『地獄谷温泉 無明ノ宿』で岸田國士戯曲賞、芸術祭優秀賞。19年に第36回とやま賞文化・芸術部門を受賞した。19年から富山県でスタッフ・キャストを公募して市民とともに舞台を作るプロジェクトを始め、これまでに2作を発表。静岡県でも県民劇団と創作をした。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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