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[2021年 映画ベスト5](今年も)忖度なしの本気セレクト!

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

ドキュメンタリー、ラブストーリーの傑作

*『セールスマン』(アルバート/デヴィッド・メイズルス兄弟、1969)
 低所得者向けに高額な聖書を訪問販売するセールスマンの日常を“ありのままに”記録した、ドキュメンタリー映画の傑作。キリスト教伝道を口実に、利潤追求を至上目的とする聖書会社の命令に従い、客の購入意欲をかきたてるような話術/詐術を弄するセールスマンたちの姿に、資本主義の歪み──現在の私たちもその渦中にある──が浮き彫りにされ、複雑な思いになる(本作を観た日に、テニスショップの店員さんのセールストークに乗せられ、新モデルのラケットを買ってしまった私は、じつに身につまされた)。むろん、あらゆるドキュメンタリーがそうであるように、「ダイレクトシネマ」と呼ばれるメイズルス兄弟の映画にも、劇映画とは異なる劇化=演出が施されており、“ありのまま”がカメラの前で再演されている点も肝だが、本作は製作からおよそ50年の時を経てようやく日本初公開された(@東京・下高井戸シネマ)。

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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