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田中絹代監督の魅力と邦画の再評価をめぐって~P=A・ヴァンサン氏に聞く

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

自分の会社の古典を知らない

──田中作品の質の高さを見るにつけ、「なぜ評価が遅れたのか」という素朴な疑問も湧きます。そこには女性であったため映画史のなかでの冷遇があったと思います。一方で、昨今のMe too運動の機運が彼女の作品を押し出した面もあるでしょう。ただし今回はフランスから見える問題についてお伺いしたいのです。あなたはかつて日本映画の配給に携わっていました。私はフランス人から「日本の映画会社とのやりとりは大変」という愚痴をよく聞いたものですが、実際はいかがでしたか。

ヴァンサン 私は長い間日本のクラシック作品の配給を仕事にしていたので、その言葉の意味がよくわかります。以前は日本とのやりとりは本当に大変でしたから。日本の会社に

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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