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東山光明×大沢健×池田有希子インタビュー(上)、Dramatico-musical『BLUE RAIN』

コロナ禍故の制約が効果に転じた『BLUE RAIN』

橘涼香 演劇ライター


 2020年、最初の緊急事態宣言後、ミュージカルとしては先陣を切って上演されたDramatico-musical『BLUE RAIN』が、2022年1月13日~26日、銀座の博品館劇場で再演の幕を開ける。

 ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』をベースに、日本でも『SMOKE』がスマッシュヒットしたチュ・ジョンファ(作演出)&ホ・スヒョン(音楽)の夫婦コンビにより韓国で創作された作品で、舞台を1990年代後半のアメリカ西部に移し、強欲な富豪、ジョン・ルキペールが殺害された事件の真相を追いながら、父と息子たち、兄と弟の憎しみと深い因縁を暴き出すだけでなく、単にひとつの家族の物語を超えて、人間の根源的な業を描いていく、サスペンフルでありながら文学的な叙情性を持つミュージカルだ。

 日本初演は2020年。最初の緊急事態宣言後、ミュージカルとしては先陣を切った形となった上演は、名匠・荻田浩一による「コロナバージョン」としてビニールシートとディスタンスを演出効果に取り組み大きな反響を呼んだ。

 そんな作品で初演から引き続いてルキペール家の次男で弁護士のルークを演じる東山光明、ルキペール家に長く使える使用人エマを演じる池田有希子、そして、この再演版からの初参加として父親殺しの犯人と目されるルキペール家の長男テオ役を、石井雅登と共にWキャストで演じる大沢健が、コロナ禍だからこそ生まれた日本版とそれぞれの役柄、更に互いの魅力を語り合ってくれた。

一生忘れられない危機を共有した初演

左から、大沢健、東山光明、池田有希子=中村嘉昭 撮影拡大左から、大沢健、東山光明、池田有希子=中村嘉昭 撮影

──まず初演時の思い出をお伺いしたいのですが。

東山:初演についてはもう、何もかもが思い出深いですね。コロナ禍で全ての劇場が閉じた期間を経て、本格的に舞台を再開する、その先鞭をつける公演でしたし、僕たちもまずどういう感じで稽古をするのか?からわかりませんでしたから。今ではこうして全員がマスクをして稽古をするのも当たり前ですけれども、そこからして初めての体験だったなかで、自分にとってはとても大きな役だったので、共演者の方達の胸を借りてやろうと臨んだ作品でした。

池田:本当に前代未聞の事態だったので、人生初尽くしの作品なったというのか、なってしまったので、一生忘れないと思いました。緊張感とそれによる高まり、お客さんとも一種の吊り橋理論と言いますか、危機を共有してギュッと絆が芽生えていく、お客様と劇場とが一体となって、作品に与えてくれたエネルギーがありました。それはもちろん計算してもできないことですし、未知の領域に立ち向かう恐怖とパワーとが渾然一体となった、あの感覚は絶対忘れないだろうなと思います。

左から、大沢健、東山光明、池田有希子=中村嘉昭 撮影拡大左から、大沢健、東山光明、池田有希子=中村嘉昭 撮影

──その状況が当時からすれば少しずつ良くなっているとは言え、それこそいまおっしゃったマスクでのお稽古が当然になっているということをはじめとして、未だ終わったとは言えないなかで、大沢さんをはじめ新キャストの方も迎えられての、再演に臨まれるにあたってはいかがですか?

東山:改めて同じルーク役をさせていただけるということで、今言いましたように初演への思いや、あの時の達成感というのはすごくあるんですけど、再演に臨むうえで、同じ役ではありますが、本当に新しい気持ちで一から作っていきたいし、そうあるべきだなと。演出家の荻田浩一さんと一緒に、新たなルーク像を見つけられればと思っています。

池田:初演を経ての再演なので更に深められるという喜びと、新しく入ってきてくれた役者さんたちから新たな風を受けられるわくわく感があります。そして今回全くアプローチが違うのが身体的なコミュニケーション。コロナ禍でフィジカルなコミュニケーションを禁じられたが故に、お互い触れ合うことができないもどかしさとして全面的に「触れないこと」を演出に取り入れるしかなかった初演の状態から、「触れ合う、ボディタッチする」ことを選択肢に含めて良くなった。そういう意味で今回は本当に新しいものに取り組んでいます。この二つのアプローチは役者としては全く違う感覚なので。

大沢:僕は初演の舞台を直接は拝見できなかったのですが、ビニールシートで区切られていたりすることは、おそらくコロナだからこその舞台セット、ある意味苦肉の策だったのかもしれません。でも、いまはまだ稽古の段階ですが、結果的にそれがすごい効果になっているのを感じているので、これが舞台にいったらどうなるのか?がとても楽しみです。

◆公演情報◆
Dramatico-musical『BLUE RAIN』。
2022年1月13日(木)~26日(水) 博品館劇場
公式ホームページ
公式Twitter
[スタッフ]
脚本・演出:荻田浩一
音楽監督:河谷萌奈美
振付:港ゆりか
ORIGINAL PRODUCTION BY C101
BOOK BY JUNG HWA CHOO
MUSIC BY SOO HYUN HUH
[出演]
東山光明・彩乃かなみ・石井雅登・染谷洸太・伊藤広祥
大沢健/池田有希子/今 拓哉
【演奏】河谷萌奈美/門馬由哉・小金坂栄造

〈東山光明プロフィル〉
「Honey L Days」としてドラマや映画の主題歌・挿入歌でボーカルデュオとして確固たる地位を築いている。本名の「東山光明」名義でドラマ・映画・演劇・ミュージカルのフィールドで活動をしている。主な舞台出演作品は、『Beautiful』、『GEM CLUB 2』、『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』など。
★公式ホームページ
★公式twitter


〈大沢健プロフィル〉
1985年に俳優デビュー以降、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍中。最近の主な舞台出演作品は、『ふたり阿国』、『ふるあめりかに袖はぬらさじ』、『神舞の庭』、『Same Time,Next Year』、Musical『HOPE』など。
★公式ホームページ


〈池田有希子プロフィル〉
1990年俳優デビュー。舞台、ミュージカルを中心に活躍中。最近の主な舞台出演作品は、good morning N°5『どうしようもなくて、衝動』、『アンクル・トム』、『イノサン musical』、『BLUE RAIN』、カムカムミニキーナ旗揚げ三十周年記念公演『燦燦七銃士―幕末エクスプレス1867-』、『東京ゴッドファーザーズ』、『SMOKE』など。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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