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俳優、山崎一が挑む「老いの冒険」

「劇壇ガルバ」で新しい演劇のあり方を模索する

山崎 一 俳優

 俳優、山崎一が主宰する「劇壇ガルバ」で、アーサー・ミラー作『THE PRICE(ザ・プライス)』を上演する。重厚な古典劇からナンセンスコメディーまで幅広い舞台で活躍し、故蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、三谷幸喜、長塚圭史ら現代演劇を牽引する人々から信頼されるベテラン俳優が、あえてリスクを背負いながら冒険に挑む、そのこころは--。(構成・山口宏子)

プロデュースでも、劇団でもない「何か」へ

 きっかけは還暦を迎えて、何か芝居を作りたいと考えたことでした。最初はプロデュース公演をと思ったのですが、もうちょっと、参加する全員が能動的に関われる場を作れないかなあと考え始めました。

拡大「劇壇ガルバ」を主宰する山崎一=加藤孝撮影
 プロデューサーが公演ごとにスタッフ、キャストを集めて舞台を作るプロデュース公演は、参加する俳優としては「お客さん」として呼ばれるので、ある意味では楽なのですが、現場で作品に対して積極的に提案をする雰囲気ではないケースもあります。

 一方、固定したメンバーで活動を続ける劇団は、すべて自分たちの考えで動けますが、集団を維持することを優先して、発想が制約される面もあります。長く活動を続けている劇団ももちろんありますが、解散したり、潰れたりする劇団をたくさん見てきました。多くの場合、原因は人間関係。劇団を続けてゆくために内部に作られたある種の「縛り」が息苦しくなってゆくんですよね。

 そうした経験を踏まえて、劇団よりも緩やかにつながり、プロデュース公演よりも踏み込んだ関係で、作家、演出家、俳優、スタッフなどが立場にかかわらず、アイディアを出し合って共に舞台を作り上げる演劇集団が作れないだろうかと考えた。そうしてスタートしたのが「劇壇ガルバ」です。「演劇活動を取り巻く人たちのつながり」という意味で、「劇壇」と名付けました。

 30年以上演劇活動を続ける中で、出会い、つながりを持ってきた多くの魅力的な演劇人との関係性を大切にしながら、作品作りができたらと思っています。

劇壇ガルバ
 プロデュース公演と劇団の中間の形態を目指す。名称は古代インドの聖典で世界創造の源とされ「黄金の胎児」を意味する「ヒラニア・ガルバ」という言葉からとられている。

第3回公演『THE PRICE(ザ・プライス)』
2022年1月16~23日
吉祥寺シアター(東京都武蔵野市)
【作】アーサー・ミラー
【翻訳】髙田曜子
【演出】桐山知也
【出演】大石継太、高田聖子、堀文明、山崎一

 6800円、学生3500円

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筆者

山崎 一

山崎 一(やまざき・はじめ) 俳優

1957年神奈川県生まれ。早稲田小劇場を経て、小劇場で松尾スズキ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、宮沢章夫らの作品に出演。井上ひさし作品、海外古典劇など幅広い舞台でも活躍する。映画、ドラマへの出演も多い。2020年に出演した『十二人の怒れる男』『23階の笑い』で第28 回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。2018年劇壇ガルバの旗揚げ公演『森から来たカーニバル』(別役実作)では演出も務めた。2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出演する。(写真:加藤孝撮影)

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです