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必見! 『弟とアンドロイドと僕』──不気味で異形の分身映画

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

存在感覚の希薄さが表れる “けんけん”

 このように薫は、私たち俗人からすれば「変人」であり「異人」であるが、俗人の代表ともいうべき大学の学科長・白井(本田博太郎)が、あなたには道路のひび割れを修理するロボットの開発をお願いしたんだから、ちゃんとやってね、と困惑顔で言うところも可笑しい。そこでの薫は、白井に一言も言葉を返さず、また一度も彼と目を合わせない。つまり薫は、白井との一切のコミュニケーションを拒むわけだ。

 同様に、腹違いの弟、求(もとむ:安藤政信)が、寝たきりの父/吉澤健が昏睡状態に陥ったと伝えに来て、入院費を執拗にせびるシーンでも、

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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