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「コメント欄が誹謗中傷等で地獄化する問題」について対抗策を6つ考えた

誹謗中傷等に負けないカルチャーとリテラシーを育てよう

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

(3)最初に記事を読んでもらうという導線にする

筆者の記事についたコメントの例(一部加工しています)拡大【画像】筆者の記事についたコメントの例(一部加工しています)
 「論座」では、SNSやまとめサイト等から流入する非会員が記事を閲覧する場合、スマートフォンで記事を開くと、【画像】のように、本文の下にコメントが3件掲載されています。

 それよりも上部にある記事本文のほうが「特等席」と思われがちですが、記事本文は「もっと読む」ボタンを押さないと全文を読めない場合があります(※会員は読むことができます)。一方、コメントは長いものを除いて、概ね全文を読むことができます。

 スマートフォンの操作では、「タップ」よりも「スワイプ」のほうが心理的ハードルは低いと言われています。そのため、「本文を読む→コメント欄も読む」という本来の流れではなく、「スワイプして手軽に読める3つのコメントを先に見る→タップして本文を読む」という行動をする人もいるのではないでしょうか。

 これでは、誹謗中傷等が殺到し、それらが人気コメントを占めるようになった場合、コメントに書かれた誹謗中傷等が「先入観」となり、否定的なコメントがさらに増えるのを誘発しかねません。

 また、非会員が記事を閲覧する場合、【画像】のように、コメントの文字数が、表示された記事の本文よりも多い場合があります。私の記事は冒頭の49文字ですが、コメント2つ目は75文字です。つまり、記事本文よりコメントのほうが「ランディングページにおける文字数」で占有率が高くなるという矛盾が発生しているわけです。

 以上のことを考えると、記事をまず読んでもらうという本来の導線通りに動いてもらうためにも、「記事の最後のページ以外はコメント欄を表示しない」という対応策が望ましいと思います。もしくは、Yahoo!ニュースが導入しているような「表示」「非表示」を選べるタブを設けた上で、最終ページまでは「非表示」をデフォルトの設定にするよう変更してはどうでしょうか。

(4)コメント記入欄は記事やコメントの最後に表示する

 誹謗中傷等を書き込む人は、記事を最後まで読まないことが少なくないようです。たとえば、私の記事では「確かに、『●●だろ!』という反論はよく言われると思います。ですが……」という形で、飛んで来ると思われる反論を想定して、文章の途中にあらかじめ再反論を書くことがよくあります。

 それにもかかわらず、「何を言っているんだ! ●●だろ!」という、私に反論するコメントがつくことが頻繁に起こるのです。Amazonの書籍レビューの「荒らし」も同じですが、彼らが記事を最後まで読んでいないことは明らかです。

 また、彼らの中には他のコメント欄を読まずに自分のコメントを殴り書きするため、似たようなコメントが何件も何件も並ぶということもよくあります。たとえば、前述のように、前澤氏の記事には、「金持ちへの嫉妬だろw」という反知性主義的コメントが金太郎飴のように並んでいます。

 これを防ぐには、「コメント記入欄はコメントの最後のページにのみ表示し、あえてコメント記入までの導線を長くして、記事本文や既存のコメント欄の内容をしっかりと読まない人へのハードルをできるだけ高くする設計にするのが有効ではないでしょうか。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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