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無敵の「映画女優」、渡辺美佐子の魅力とは

「人間」を演じる才能と努力、21本を特集上映

内藤由美子 「シネマヴェーラ渋谷」支配人

 渡辺美佐子(1932年生まれ)は、国内外で上演648回を数える一人芝居『化粧 二幕』をはじめ、舞台で多くの代表作を持つ「新劇俳優」だ。軽やかなフットワークで多彩な舞台に出演し、長年続けている平和への祈りを込めた朗読や講演でも全国を飛び回る。一方で100本を超える作品に出演している「映画女優」でもある。その魅力にスポットを当てた特集上映が2月に東京・渋谷の映画館で始まる。企画者がその魅力をつづる。

「渡辺美佐子の出演作に駄作なし」

 シネマヴェーラ渋谷では2月5日から3週間にわたり、特集「役を生きる 女優・渡辺美佐子」を開催する。渡辺さんご本人がご登壇されるトークショー付き上映も2回ある。スタジオ(映画の撮影所)が盤石で作品を量産していた時代、そのただ中で活躍された体験を伺うことができる貴重な機会になるだろう。

 特集を企画したきっかけは私が渡辺美佐子ファンである、という一点につきる。

拡大映画『果しなき欲望』(1958年、今村昌平監督)=©日活
 初めて渡辺美佐子という名前を意識したのはおそらく『果しなき欲望』だったと思う。洋画ばかり観ていて日本映画を観始めたのが遅かったのだが、ケイパーものの傑作として知られたこの作品は早い時期に観ているはずだ。西村晃、小沢昭一、殿山泰司、加藤武といった曲者役者を向こうに回して、彼らを手玉に取る謎の悪女を演じて圧巻だった。この役をやれる女優が他にいるだろうかと思ったものだ。

 そして鈴木清順や加藤泰作品を観ていくことになるのだが、決定的だったのは『競輪上人行状記』と『人間に賭けるな』。人間の本質を深く掘り下げたこの2作品での渡辺美佐子にすっかり圧倒されてしまった。

 それは私だけでなく、周りにもファンは多い。「渡辺美佐子出演作に駄作なし」と言い切った知り合いもいるくらいだ。もちろん凡作が傑作に早変わりするはずもないのだが、彼女がスクリーンに映し出されると作品の格がグッと上がる気がするのだから、それも言い過ぎではないだろう。

「役を生きる 女優・渡辺美佐子」

拡大特集上映のちらし。イラストは岡田成生
2022年2月5~25日

シネマヴェーラ渋谷
(東京都渋谷区円山町1―5 KINOHAUS 4F)
TEL:03(3461)7703

1950~60年代の渡辺美佐子出演映画21本を上映

◆トークショー
2月5日16:40
『人間に賭けるな』上映後
 (聞き手:松岡錠司監督)

2月19日12:50
『真田風雲録』上映後
 (聞き手:井上淳一監督)

1本立て入れ替え制
1200円、60歳以上1000円
会員800円
大学・高校生600円
トークショーの回は一律1200円

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筆者

内藤由美子

内藤由美子(ないとう・ゆみこ) 「シネマヴェーラ渋谷」支配人

2006年に開館した渋谷の名画座「シネマヴェーラ渋谷」の経営者兼支配人。映画関係の仕事に就いたことはなく、趣味が高じて始めた映画館だが、今年で17年目を迎えることになった。最近では邦画と洋画が半々のプログラミング構成になっている。16mm、35mmフィルムを上映している数少ない劇場のひとつでもある。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです