新潟の高田世界館、門付け芸にも思いをはせて
2022年02月08日
立春は過ぎましたが、寒さは厳しいですね。お見舞い申し上げます。今年初の旅日記です。
疫病猖獗(しょうけつ)いまだ収まらぬなか、今年はどれくらい旅ができるかなあと思いつつ。
昨年末の、仕事おさめも、旅でした。
一昨年から毎年開催していただいている「浪曲映画祭」。
映画の源に語り芸あり。さまざまな形で浪曲と縁のある映画を集め、実演と合わせるこの企画。昨年は地方公演もたくさんありました。
1月には、松本市のまつもと市民芸術館と沖縄は那覇市の桜坂劇場。
2月に川崎市の川崎アートセンター。
9月は大分市のシネマ5で公演したあと、熊本市のDenkikan。
10月には山口市、山口情報芸術センター。
11月は高崎市の高崎電気館と尾道市のシネマ尾道、鹿児島市のガーデンズシネマ。
12月は横浜市のシネマリンと、そして、年末28日に開催されたのが、新潟の上越市・高田世界館での「映画×浪曲」でした。
12月28日。年末で混み始めていた北陸新幹線。一行は3人。奈々福と、曲師の沢村豊子師匠、後見として豊子師匠の三番弟子の沢村まみ。長野までは「なんだ、そんなに雪降ってないじゃない」と思っていたのに、長野を過ぎたとたんに、風景が変わりました。
車窓が一面真っ白に。
雪深い上越妙高の駅に降り立ち、お迎えの車に乗って着いた「高田世界館」は、日本で一番古い映画館で、百年以上の歴史があるそうです。
とても趣のある映画館です。
もともとは芝居小屋だったそうなので、舞台も広い。
いまこの建物がこうして美しいままあるに至った道のりは、簡単ではなかったようです。
「映画×浪曲」の企画が始まって以来、日本各地の映画館にうかがっていますが、地域の方々が中心となってNPOを設立して運営しているところがいくつもありました。
また、デジタル化の波で機材が買えずに廃業の危機に瀕していた映画館に、市民の方々が多大な寄付をしたことで維持できたとか、そこまででなくても、新しい映画がかかるたびに必ずパンフレットを買いにくるお客さんがいるとか、コンビニで買ったほうが安いのに、わざわざ映画館に来てジュースを買う方がいるとか……「映画館なくならないでほしい」という、一人一人のファンの方に支えで、いまにつながっているんだというお話を館主の方々から、ずいぶん聞きました。
協力してくれたお一人お一人のお名前を記したプレートを壁に掲げている映画館もいくつもありました。
私たちの映画館が続いてほしい……という気持ちの集積として、映画館があることを、しみじみと尊く感じます。
そして、高田といえば、瞽女(ごぜ)さんに深い所縁のある土地でもあります。
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