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『陰陽師 生成り姫』に出演!音月桂インタビュー(上)

誰しもが「あぁ、わかる!」と思える徳子姫を演じたい

橘涼香 演劇ライター


 1986年小説誌「オール讀物」で連載開以来、日本のみならず全世界で発行部数800万部を超える夢枕獏の大ヒット小説『陰陽師』。平安時代を舞台に、繊細で聡明な陰陽師・安倍晴明と無二の親友・源博雅の活躍を描いた作品だ。

 この、誕生から35年にわたって愛され、映画、舞台、テレビドラマ、漫画など様々なメディアで描かれてきた作品が、三宅健主演、脚本マキノノゾミ、演出鈴木裕美の顔ぶれによる、舞台『陰陽師 生成り姫(おんみょうじ なまなりひめ)』として、東京・新橋演舞場(2月22日~3月12日)、京都・南座(3月18日~24日)で上演される。三宅演じる安倍晴明と林翔太扮する源博雅との友情を軸に、姜暢雄、太田夢莉、佐藤祐基、市川しんぺー、岡本玲、佐藤正宏、そして木場勝己と実力派が集結。できる限り人力を尊重した、生演奏とコンテンポラリーダンスなど、舞台ならではの魅力が詰まった作品が生まれでる。

 そんな新たな舞台で、物語の鍵を握る徳子姫を演じる、宝塚歌劇団雪組で実力派トップスターとして人気を集め、退団後も幅広いジャンルで活躍する音月桂が、作品と役柄の魅力、また座長の三宅健から感じる印象などを語ってくれた。

人の手のぬくもりを感じる『陰陽師』に

音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉拡大音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉

──お稽古がはじまっているとお伺いしていますが、今の段階で作品について感じているところから教えていただけますか?

 本当に日本だけに限らず世界的にもファンの方が多い『陰陽師』という、作品の名前だけで偉大過ぎて!私自身はいろいろな和物のお芝居に出演することはあっても、これまで実際に陰陽師をテーマにした作品に携わったことが一度もなかったので、今回資料を見たり、原作も読ませていただいて、ファンの方がたくさんいらっしゃる理由がわかる!とすぐに思ったほど面白くて。その作品の中に皆様から「作品のキーパーソンですね」と言っていただける役柄で出演できることが本当に嬉しいです。

 でもそれだけにプレッシャーも大きいのですが、脚本のマキノノゾミさんも、演出の鈴木裕美さんも、この作品をできるだけ人力で作る、映像を使ったり、デジタルなものを極力用いずに、シンプルに作りますと強くおっしゃっていらして。まさにその通りの人の手の温もりを感じる作品になると思っています。実際お稽古中も、自分たちの力だけで表現する為にはすごくエネルギーがいるのでお腹も空くんですけど(笑)、皆さんの舞台に対する姿勢の真っ直ぐさが伝わるので、そうした方々と演技をしていく楽しさも、まだ始まったばかりですが既に感じているところです。

──映像作品もですし、これまでも数々舞台化されてきた『陰陽師』は、大がかりな仕掛けのあるテーマパークのような作りのものが多かったので、お芝居の原点に返る『陰陽師』というのは逆に新鮮ですね。

 そうなんです。いまおっしゃったようにエンターテイメント性の強い作品が多かったと思うので、ある意味アナログの良さを追求しているのは珍しいと思います。

音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉拡大音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉

──その中で演じる生成り姫=徳子姫ということで、タイトルロールでいらっしゃいますが、役柄についてはどのように?

 製作発表記者会見の席で「タイトルロールの」とご紹介いただいて「えっ?私!?」と思ったぐらいだったのですが(笑)、徳子姫のまっすぐな思いがどこかでねじ曲げられてしまったというか、それも本人の思い込みかもしれないのですが、裏切られた、伝わらなかった愛が変化して、自らが鬼になってしまう。愛情が復讐という方向に逸れていってしまう役どころなので、はじめに本を読んだ時には、大変な重みのある、ありすぎるくらいの役だな、大丈夫かなと思いました。

 でも、例えば悔しい想いですとか、マイナスな、ネガティブ感情って誰しもが必ず持っているものだと思うんですね。少なくともゼロではいられないと言うか。ですから自分のそういう気持ちを探して、徳子姫の感情とリンクさせながら作っていきたいですし、それがうまくいけば女性だけではなく男性のお客様にも、さらに若い人でも、お年を召した方でも、自分のことのように共感して「あぁ、わかる!」と思っていただける役なんじゃないかな?と。そこに至るには私の徳子姫への理解をもっともっと深めていかないといけないのですが、そんなふうに皆さんが愛してくださるような役にしていきたいと思っています。

◆公演情報◆
舞台『陰陽師 生成り姫』
東京:2022年2月22日(火)~3月12日(土) 新橋演舞場
京都:2022年3月18日(金)~3月24日(木) 南座
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:夢枕獏(文春文庫『陰陽師 生成り姫』)
脚本:マキノノゾミ
演出:鈴木裕美
[出演]
安倍晴明…三宅健
徳子姫…音月桂
源博雅…林翔太
藤原済時…姜暢雄
綾子姫…太田夢莉
火丸…佐藤祐基
知然法師…市川しんぺー
蜜虫…岡本玲
蝉丸…佐藤正宏
蘆屋道満…木場勝己

〈音月桂プロフィル〉
1998年宝塚歌劇団に入団。2010年雪組トップスターに就任。華やかな容姿に加え、歌、ダンス、芝居と 3 拍子揃った実力派トップスターと称され、2012年『JIN-仁/GOLD SPARK!』で退団。退団後は、ドラマ、映画、舞台などで活躍。最近の主な出演作品は、『ナイツ・テイル-騎士物語-』、『華-HANA-』、『フランケンシュタイン』など。
公式ホームページ
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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