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『陰陽師 生成り姫』に出演!音月桂インタビュー(下)

時代を越えた人のつながりを感じる

橘涼香 演劇ライター


音月桂インタビュー(上)

いっさいの壁を取り払ってくれる三宅健座長

──時代を越えた普遍的な感情が描かれているというお話もいただきましたが、そういう面とは別に、日本物のお芝居ということで、洋物との違いを感じる部分はありますか?

 まず現実的に言うと、やっぱり台詞の言い回しですね。マキノノゾミさんの脚本、そしてそもそも原作の夢枕獏先生が書かれたものもそうですけれども、言葉が美しいんです。すごく婉曲的な言い方をしているのに、芯をぐさっと突いてくるような。もちろん他の洋物のお芝居でもそういうところがないわけではないのですが、きっと日本人に刺さる言い回しだったり、台詞の美しさがすごくあって。

 現代の私達が普段話している言葉とは違いますから覚えるのは大変なのですが、自分の役だけではなくて、ほかの方の台詞を聞いていても、情景が目に浮かぶようで。いつの季節なのか、鳥の声が聞こえているのか、寒いのか暑いのにまで想像力をかき立ててくれるものになっていて、自分の出ている場面ではないところも、どこも見逃したくないと思わせてくれる。それは私が日本人だからかもしれないですが、とても熱いものを感じられて、やっぱり日本物は大好きです。時代劇を見るのも好きですし、自分のDNAの中に母国の血が流れているんだなと感じます。

音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉拡大音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉

──そのなかでカンパニーの方々、特に三宅健さん、林翔太さん、木場勝己さんなど、製作発表記者会見でもご一緒された方々とお稽古を共にされていかがですか?

 座長の三宅さんとは、お仕事をご一緒させていただくのが初めてなのですが、初めてとは思えないような、フラットで気さくな方なんです。ですから私たちも気負わずに稽古に臨めるんですよね。ご自身のやるべきことや台詞の量が膨大なのにも関わらず、すごく細やかで、私がいっぱいいっぱいになっている時に、パッと話しかけてくださったり、素晴らしいお人柄を感じます。ビジュアルは妖艶でお美しいのに、稽古場ではふわっとしていらして、いっさいの壁を取り払ってくださるのがありがたいです。その三宅さんに憧れてジャニーズに入ったとお聞きしている林翔太さんが親友役を演じられているのは、林さんにとっても夢の共演なんだろうと思いますし、お二人の掛け合いも本当に温かいんですよね。見ていてもほっこりする感じがあるので、稽古場の雰囲気がすごく穏やかです。

 裕美さんもそうですし、カンパニーの皆さんの作品に対する愛情がとても強いので、同じ方向に向かっているという一致団結感が、既にすごくあるので、これからどんどん深めていけるのもとても楽しみです。また木場勝己さんは大ベテランで、役者さんとしても尊敬していますし、私は一度共演させていただいているのですが、当時は本当に未熟すぎて足元にも及ばなかったので、少しでも成長した姿を木場さんに見ていただけるように頑張りたいです。

音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉拡大音月桂=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:金澤美保(Kanasawa Miho)・スタイリング:田中雅美(Tanaka Masami)〉

──また、今回は常に精霊たちが舞台にいるということですが。

 そうなんです。精霊の方達が演じている人達をずっと見ていたり、共感してくれたりもするので、きっと背中も押してもらえるでしょうし、私達のお芝居にも色々な良い影響をいただけて、役をもっと深めていくこともできるのかなと思って楽しみにしています。『ナイツ・テイル-騎士物語-』という作品に出演したときにも、そういう周りにたくさんの方達がいてくださるというお芝居を経験していて、その時にも皆さんからとても力をいただけたので。

──確かに『ナイツ・テイル-騎士物語-』でも、音月さんが演じられたエミーリアの散策する中庭に花を咲かせたり、蝶々が飛んだりを人の手でなさっていましたね。やはりそういう周りの方々から得るパワーというのは大きいものですか?

 とても大きいと思います。それも使っていいよと裕美さんはおっしゃっていて、私は精霊が見えない役なのですが、それでも精霊の方達が示してくださる反応を感じながらお芝居ができるというのは、良いきっかけやヒントにもなるし、何より安心感があります。観てくださる方の想像も膨らむでしょうし、人の手で作っていくことの大きな可能性を感じてワクワクします。

◆公演情報◆
舞台『陰陽師 生成り姫』
東京:2022年2月22日(火)~3月12日(土) 新橋演舞場
京都:2022年3月18日(金)~3月24日(木) 南座
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:夢枕獏(文春文庫『陰陽師 生成り姫』)
脚本:マキノノゾミ
演出:鈴木裕美
[出演]
安倍晴明…三宅健
徳子姫…音月桂
源博雅…林翔太
藤原済時…姜暢雄
綾子姫…太田夢莉
火丸…佐藤祐基
知然法師…市川しんぺー
蜜虫…岡本玲
蝉丸…佐藤正宏
蘆屋道満…木場勝己

〈音月桂プロフィル〉
1998年宝塚歌劇団に入団。2010年雪組トップスターに就任。華やかな容姿に加え、歌、ダンス、芝居と 3 拍子揃った実力派トップスターと称され、2012年『JIN-仁/GOLD SPARK!』で退団。退団後は、ドラマ、映画、舞台などで活躍。最近の主な出演作品は、『ナイツ・テイル-騎士物語-』、『華-HANA-』、『フランケンシュタイン』など。
公式ホームページ
公式twitter
公式instagram

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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