三島憲一(みしま・けんいち) 大阪大学名誉教授
大阪大学名誉教授。博士。1942年生まれ。専攻はドイツ哲学、現代ドイツ政治の思想史的検討。著書に『ニーチェ以後 思想史の呪縛を超えて』『現代ドイツ 統一後の知的軌跡』『戦後ドイツ その知的歴史』、訳書にユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』など。1987年、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞、2001年、オイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞受賞。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
日本維新の会および元維新代表の橋下徹氏が、なぜだか知らないがいきり立っている。元総理の菅直人氏および、氏が属する立憲民主党に対していきり立っている。きっかけは菅直人氏が自身のツィッターで、橋下氏の「弁舌の巧みさ」を引き合いに出して「ヒットラーを思い起こす」と発信したことにあるようだ。「とんでもない、陳謝・撤回しろ」、というわけだ。
橋下徹氏は「国際的にご法度なことをした」ときつい調子。リベラルレフトの代表格・ご意見番ともいうべき菅直人氏に社会的制裁を課す、いや次の選挙に向けて立憲民主党を壊すチャンスということだろう。立憲民主党の内部でも「暴走老人」の発言を危惧する声がなくもないようだ。橋下氏および維新からの攻撃に口実を与えるような発言はまずいなあ、という向きがあるやの報道も散見する。
だが、私としては、とんでもない、暴走老人でもなんでもない、と言いたい。一般的には私は、すぐに「ヒトラー」あるいは逆に、維新の馬場伸幸共同代表も使ったが「人権」と叫ぶことには懐疑的だが、今回の菅氏の発言は、あまり関心のなかった橋下氏の言動について考えさせてくれた。また、橋下氏が体現するポピュリズムとファシズムの関係について考えさせてくれるいい機会となった。