大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
疲れた心を癒していただきたい
――『メリー・ポピンズ』で印象に残るのは、傘を持って客席の上をフライングしていくシーンです。濱田さんはフライングしているときはどんな景色が見えているのですか。
みなさんのキラキラした顔が目に入ってきますね。メリーとしては充実感があります。マイケルとジェーンがこのまますくすく育ってほしいと思いながら、「次はどのお宅に行くのかしら」と思って飛んでいます。あとは、気持ちいいなって。
――気持ちいいですか。
魔法がかかってフライングしている間は体が軽いんですけど、地上に降りて魔法が解けたときに重力を感じるんですよ。「重力ってこんなに体に負担があるんだ」と思って。
――すごいですね。
飛んでいる方がずっと楽です。地球の人は大変だなと思いますね(笑)。
――濱田さんが『メリー・ポピンズ』という作品に魅力を感じるところを教えてください。
作品自体も明るいし、観てワクワクするというのはもちろんですが、この演目を上演するタイミングとして今回がベストなのではないでしょうか。コロナ禍でみなさんの心が疲弊している中で、喜びや希望をお届けできる作品だなと思います。
最後にメリー・ポピンズがバンクス家から飛び立っていくと、お客様も「えっ、帰っちゃうの?」と寂しさを感じるそうです。全員が一つになってその世界を生きて考えて、いろんな役に共感して成長していける作品だなと思います。不思議な演目ですよね。『メリー・ポピンズ』という作品自体が魔法なのかな。
――今の状況で、みなさんが魔法みたいなものを必要としているのかもしれません。
必要ですね。魔法で「えっ?」とビックリすることがきっかけで、心がほぐれていくのではないでしょうか。今、みなさんが優しさやきらめき、ワクワクを必要としているんだなと感じます。だから今上演するにはぴったりの演目だなと、稽古をしながら思いますね。疲れているあなたには『メリー・ポピンズ』を(笑)!
――濱田さんご自身もメリーを演じながらパワーをもらっているのでしょうか。
はい。私が演じているときは疲れることもなくて、考え方もポジティブになる。メリーを疑似体験しているから、稽古をした後の方がスッキリしていますね。みんなが変わっていく様を見るのも楽しいし、非常にワクワクする稽古場です。
◆公演情報◆
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
【東京】東急シアターオーブ
プレビュー公演:2022年3月24日(木)~3月30日(水)
本公演:2022年3月31日(木)~5月8日(日)
【大阪】梅田芸術劇場メインホール
2022年5月20日(金)~6月6日(月)
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:P.L.トラバース
オリジナル・プロデューサー&共同創作者:サー・キャメロン・マッキントッシュ
脚本:ジュリアン・フェロウズ
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:リチャード・エア
共同演出・振付:サー・マシュー・ボーン
共同振付:スティーブン・ミア
[出演]
濱田めぐみ/笹本玲奈(Wキャスト)、大貫勇輔/小野田龍之介(Wキャスト)、駒田一/山路和弘(W キャスト)、木村花代/知念里奈(W キャスト)、島田歌穂/鈴木ほのか(W キャスト)、コング桑田/ブラザートム(W キャスト)、浦嶋りんこ/久保田磨希(W キャスト)、内藤大希/石川新太(W キャスト) ほか
〈濱田めぐみプロフィル〉
1995年劇団四季オーディションに合格。1996年『美女と野獣』ヒロイン・ベル役に大抜擢され劇団四季デビュー。その後、劇団四季の初演『ライオンキング』初演、『アイーダ』初演、『ウィキッド』の三作品でヒロインを演じ、看板女優として15年間活躍し、2010年に退団。その後、伸びのある歌唱力と定評のある演技力でミュージカルを中心に活躍を続けている。最近の主な出演作は、『オリバー!』、『アリージャンス』、『イリュージョニスト』、『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』、『レ・ミゼラブル』など。
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