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【公演評】宙組『NEVER SAY GOODBYE』

真風涼帆と宙組の最強コーラスがよみがえらせる、16年ぶりの「ONE HEART」

さかせがわ猫丸 フリーライター


 宝塚宙組公演、ミュージカル『NEVER SAY GOODBYE』-ある愛の軌跡-が、2月28日、宝塚大劇場で初日を迎えました。本来は2月5日の予定でしたが、他の演劇界を始め、宝塚歌劇でも宝塚バウホールや東京国際フォーラムでの公演が全中止となった中、まずは大劇場の幕が上がったことが感謝と喜びに堪えません。

 この作品は、『THE SCARLET PIMPERNEL』を手掛けたフランク・ワイルドホーン氏と演出家小池修一郎氏がタッグを組み、2006年、宙組で和央ようかさんの退団公演として上演。読売演劇大賞優秀作品賞と小池修一郎が文部科学大臣賞を受賞し、大好評を博しました。内戦下のスペインを舞台に、写真家ジョルジュが人生の真実に出会う姿を、女性劇作家キャサリンとの愛をからめながらドラマチックに描いたオリジナルミュージカルの傑作です。デラシネ(根無し草)だった男が戦場で変えたという人生観を、円熟期を迎える真風涼帆さんがどのように演じるのでしょうか。

 コロナ禍の逆境を乗り越え、2022年版『NEVER SAY GOODBYE』の幕が今、上がりました。(以後、ネタバレがあります)

真風が初舞台から主演へ

『NEVER SAY GOODBYE』公演から、真風涼帆=岸隆子 撮影拡大『NEVER SAY GOODBYE』公演から、真風涼帆=岸隆子 撮影

 『NEVER SAY GOODBYE』は真風さんにとって初舞台という思い出の公演でもありました。ラインダンスの最後に「カマラーダ!」と叫ぶ役を担っていた頃から16年の歳月を経て、主演として再びこの作品を宝塚の舞台に返り咲かせます。

――1936年、ハリウッドのクラブでは、新作映画「スペインの嵐」の制作発表パーティーが行われていた。カルメン役のエレン・パーカー(天彩峰里)、エスカミリオ役の現役闘牛士ヴィセント・ロメロ(芹香斗亜)らが華やかに紹介される中、激高した原作者のキャサリン・マクレガー(潤花)が飛び込んでくる。脚本が自分の意図とかけ離れていると激しく抗議しだしたのだ。暴れる彼女に突然フラッシュがたかれ、一人の男が現れる。パリの風俗写真集で一世を風靡したカメラマン、ジュルジュ・マルロー(真風)だった。

 ジョルジュは人気カメラマンで、彼に撮影してもらうことがステータスになるほどでした。真風さんは、抜群なスタイルにフォーマルなスーツが似合い、もはや非の打ち所がありません。女性たちからチヤホヤされ、全身にあふれる余裕は、完成された大人の男役からか、ジョルジュのかもしだす自信からか。そんな彼にとって、“華やかなパーティーに激しい剣幕でやってくる女性原作者”は、最高に面白い被写体だったことでしょう。

 ジョルジュは一見、苦労知らずのお坊ちゃまですが、実はポーランドの貧しい街で生まれたデラシネ(根無し草)で、人生の真実を映し出したいと写真家を目指したのでした。

 真風さんは落ち着いた演技と丁寧な歌唱で、じっくりと役と向き合っていることを感じました。ジュルジュの素顔を知るほどに惹かれていくのは、キャサリンだけではないはずです。

◆公演情報◆
『NEVER SAY GOODBYE』-ある愛の軌跡-
2022年2月28日(土)~3月14日(月) 宝塚大劇場
2022年4月2日(土)~5月1日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:小池 修一郎
作曲:フランク・ワイルドホーン

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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