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『メリー・ポピンズ』に出演!大貫勇輔インタビュー(上)

考え方次第で全てが変わる!というメッセージを届けたい

橘涼香 演劇ライター


 2018年に日本人キャストによる初演が行われ、大盛況を収めたミュージカル『メリー・ポピンズ』が、オリジナルキャストに、新キャストも加え、3月31日~5月8日(3月24日~30日プレビュー公演)東京・東急シアターオーブ、5月20日~6月6日大阪・梅田芸術劇場メインホールで待望の再演の幕を開ける。

 ミュージカル『メリー・ポピンズ』はディズニー映画としても有名で、アカデミー賞5部門を受賞した不朽の名作映画『メリー・ポピンズ』を原作に、ディズニーと、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などを生み出したキャメロン・マッキントッシュがプロデュースした作品。たくさんの魔法が仕掛けられた舞台セット。「チム・チム・チェリー」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」など、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう名曲の宝庫と、圧巻のダンスシーンは、劇場全体を魔法に染める傑作ミュージカルとして愛され続けている。

 そんな作品待望の再演で、初演に引き続きメリーと共に舞台をところ狭しと大活躍する煙突掃除屋のバートを演じる大貫勇輔が、作品への意気込みと、ミュージカル『メリー・ポピンズ』初演から再演までの4年間に感じた様々なことや、俳優としての夢などを語ってくれた。

驚くほど新しい発見がある

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──待望の再演ですが、まず初演の思い出から教えてください。

 初演については全てが良い思い出なのですが、まず本当に朝から晩までずっと稽古をしていました。日本初演でしたので、作品については右も左も分からないところからスタートして、皆がただただ必死に稽古を重ねたことが、自然な一致団結感を生んでいったと思います。その中で僕も必死に自分のやるべきことをやっていたのですが、いざ本番を迎えましたら、舞台上から見た景色も素晴らしかったのですが、ダブルキャストなので僕自身も舞台を客席から見た時に、こんなに素晴らしい作品に関わることができたんだ!と胸にこみあげるものが大きくて。あの感動と喜びというものは、何ものにも代えがたい体験でした。だからこそ再演があったら絶対に出たいと思っていましたので、こうしてまたお声をかけていただけて、本当に嬉しく思っています。

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──そうしたご経験を経て再演の舞台に臨むにあたり、改めていかがですか?

 初演の時はキラキラした夢のような、魔法が本当に存在するんじゃないか?と思えるような世界が繰り広げられる、心躍るものだと感じていました。それがいま再演の稽古に入ってみて、例えばバンクス家のお父さんがお金に困っている時に、子供たちが僅かなお小遣いを渡す場面などにものすごく感動するんです。本当に細かな台詞の捉え方が変わって聞こえるんだな、と驚くほどで「自分の考え方ひとつで全ては変わるし、どんなことでもその気になればできる、全ては自分次第なんだ」というテーマが刺さってきます。

 初演から4年経って僕が感動する部分にも変化があったと言いますか。ちょっとしたシーンの移り変わりで奏でられる音色や、楽曲の音形にも「なるほど!子供達が変化する瞬間だからこの音楽なのか!」ですとか「いまのニュアンスから星が見えてくる感じなんだ」や、「これが空に飛んでいく音なのか」等々、新しい発見がたくさんあって。それは音楽だけではなく振付に対してもそうで、そうした一つひとつのことにいま感動していますね。

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──そういう発見というのは、やはりこの期間に大貫さんが積まれたたくさんのご経験や、世の中にも色々なことがあって、エンターテイメントのことを考える時間もおありになったかと思いますが、そうしたことも影響していると思われますか?

 間違いなくそうだと思います。4年って短いようで長い期間で、本当に色々なことを感じ、経験させていただいてきましたので。それに加えてやはり初演の時は自分のやるべきことでいっぱいいっぱいだったものが、作品の全体像は既に知っているが故に、初演に比べれば少し冷静に色々な物事を見られるようになっているのかなと。そうしたことを含めていま新しい景色が見えているんだろうと思っています。

◆公演情報◆
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
【東京】東急シアターオーブ
プレビュー公演:2022年3月24日(木)~3月30日(水)
本公演:2022年3月31日(木)~5月8日(日)
【大阪】梅田芸術劇場メインホール
2022年5月20日(金)~6月6日(月)
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:P.L.トラバース
オリジナル・プロデューサー&共同創作者:サー・キャメロン・マッキントッシュ
脚本:ジュリアン・フェロウズ
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:リチャード・エア
共同演出・振付:サー・マシュー・ボーン
共同振付:スティーブン・ミア
[出演]
濱田めぐみ/笹本玲奈(Wキャスト)、大貫勇輔/小野田龍之介(Wキャスト)、駒田一/山路和弘(W キャスト)、木村花代/知念里奈(W キャスト)、島田歌穂/鈴木ほのか(W キャスト)、コング桑田/ブラザートム(W キャスト)、浦嶋りんこ/久保田磨希(W キャスト)、内藤大希/石川新太(W キャスト) ほか


〈大貫勇輔プロフィル〉
7歳より母の経営するスタジオでダンスを始める。祖父は体操のオリンピック強化選手、母や伯母も元体操選手という生粋のサラブレッド。17歳よりプロダンサーとして数々の作品に出演。以降、舞台や映像作品にも幅を拡げ、俳優としても活躍中。主な舞台出演作品は、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、『王家の紋章』、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』、『ロミオ&ジュリエット』など。3月18日公開の映画『KAPPEI』に出演する。現在、ファースト写真集『le mec』が好評発売中。
★公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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