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『メリー・ポピンズ』に出演!大貫勇輔インタビュー(下)

水のように形を変えられる俳優でいたい

橘涼香 演劇ライター


大貫勇輔インタビュー(上)

ほかの作品では見られない、忘れられない景色

──主演のメリー・ポピンズ役を初演から引き続いての濱田めぐみさんと、新キャストの笹本玲奈さんが演じられますが、新たなメリーとの出会いはどうですか?

 人って何かのエモーションがあって喜怒哀楽が出たり、言葉が出たりしますよね。でもメリーは全ての物事を知っている存在だからこそ、そういう部分を超越しているので、演じている側としては意外にもそこまで大きな感覚の違いは起きないんです。でもそれはあくまで主観でお芝居をしている側からであって、さっきも言いましたがダブルキャストなので、小野田くんが演じているのを客観的に見ると、濱田メリーと笹本メリーは全然違うなと思います。

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──あぁ、なるほど!では観客側からが更に楽しいダブルキャストということですね。

 それはもう組み合わせが違うと全く違って見えると思います。めぐさん(濱田)と玲奈さん(笹本)も本当に違いますし、僕と小野田くんのバートも全然違うので、色々な組み合わせで観てもらえたら、より楽しんでいただけると思います。

──再演で初めてご覧になる方へのおススメポイントはありますか?

 子供たちの場面はどこもおススメですし、自分の場面で言うなら「Step in Time」ですね。タップをしながら歌い、壁を登り、天井でさかさまになりながらタップをする。あの瞬間に見た景色は今でも忘れられないので、是非注目してご覧いただきたいです。

──あの姿勢で、あの位置から客席を見るというのは、なかなかないですよね。

 他の作品ではまずないことだと思いますから、楽しみにしていてください!

再演作品に臨む時には一度すべてを忘れる

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──再演を重ねる作品にも多く携わっている大貫さんですが、初演作品と再演作品に臨む時ではそれぞれに違いがありますか?

 それは全然違いますね。まず稽古の仕方から違います。初演の作品に臨む時には、いつも自分がやるべきことをどれだけきちんとできるか、高いところを目指してそこに届くためにひたすら毎日を過ごしていく感覚で、なかなか余裕もありません。それが再演作品になるとやっぱり身体が覚えているのですが、そのなかでも僕が大切にしているのは一度忘れるということです。様々なものを覚えているからこそ、そこを一回白紙に戻す。真っ新な状態に戻して、改めて演出を受けて、初演のつもりで取り組むというのはいつも一番意識していますね。

 でもそうは言っても、動いていくうちに自然と身体が思い出してくるので、そうなってきた時にはどうすればこの作品がよりよくなっていくか?を考えていきます。ですから、初演は富士山に初めて登っている状態で、次にどんな険しい道があるか自体を知らないまま必死に山頂を目指していく。でも再演では、それはもうわかっているので、じゃあ今度はどのルートから登っていこうか?を考える、という感覚です。

大貫勇輔=岩田えり 撮影拡大大貫勇輔=岩田えり 撮影

──ありがとうございます。とてもわかりやすいです。先ほど、この作品の初演からの4年間は、短いようで長い期間とおっしゃいましたが、確かにミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』で主演のケンシロウ役を演じられたのをはじめ、たくさんの舞台、また大きな話題を呼んだ『ルパンの娘』など、映像作品にも多数出演されています。改めてこの期間を振り返っていただくと?

 この4年間で言いますと、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』で声優として主演をさせていただいて、そこで神谷明さんとご一緒させていただき、続いて神谷さんがアニメで声をなさった『北斗の拳』のケンシロウ役を僕が舞台で演じさせていただけた。そういう繋がりを感じます。そこから3月18日に公開になる映画『KAPPEI カッペイ』では、『北斗の拳』のオマージュの漫画が原作になっていて、この1、2年は『北斗の拳』とのご縁を強く感じています。またミュージカル『王家の紋章』で、シルヴェスター・リーヴァイさんが書かれた楽曲を歌えたのは、本当に大変ではありましたがとてもいい勉強になりました。初めての帝国劇場への出演で緊張もしましたけれども、『エリザベート』が大好きな僕にとって素晴らしい経験をさせていただけなと。映像では『ルパンの娘』で、今まで培ってきたダンスや、ミュージカルでの経験が活かせる役にめぐり会えてありがたかったです。全てに感謝しかないという感じです。

◆公演情報◆
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
【東京】東急シアターオーブ
プレビュー公演:2022年3月24日(木)~3月30日(水)
本公演:2022年3月31日(木)~5月8日(日)
【大阪】梅田芸術劇場メインホール
2022年5月20日(金)~6月6日(月)
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:P.L.トラバース
オリジナル・プロデューサー&共同創作者:サー・キャメロン・マッキントッシュ
脚本:ジュリアン・フェロウズ
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:リチャード・エア
共同演出・振付:サー・マシュー・ボーン
共同振付:スティーブン・ミア
[出演]
濱田めぐみ/笹本玲奈(Wキャスト)、大貫勇輔/小野田龍之介(Wキャスト)、駒田一/山路和弘(W キャスト)、木村花代/知念里奈(W キャスト)、島田歌穂/鈴木ほのか(W キャスト)、コング桑田/ブラザートム(W キャスト)、浦嶋りんこ/久保田磨希(W キャスト)、内藤大希/石川新太(W キャスト) ほか


〈大貫勇輔プロフィル〉
7歳より母の経営するスタジオでダンスを始める。祖父は体操のオリンピック強化選手、母や伯母も元体操選手という生粋のサラブレッド。17歳よりプロダンサーとして数々の作品に出演。以降、舞台や映像作品にも幅を拡げ、俳優としても活躍中。主な舞台出演作品は、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、『王家の紋章』、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』、『ロミオ&ジュリエット』など。3月18日公開の映画『KAPPEI』に出演する。現在、ファースト写真集『le mec』が好評発売中。
★公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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