大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ジャンルの垣根を超えることで新たなものが生まれる
ブルーマングループの世界最新バージョンのワールドツアー『ブルーマングループワールドツアーIN JAPAN2022』制作発表記者会見に登壇した松本幸四郎。
ブルーマンは全身真っ青なキャラクターが観客に刺激と驚き、感動を与える前代未聞のパフォーマンスは5000万人以上を動員する世界的なエンターテインメント。ブルーマングループから「歌舞伎界のブルーマン」と公認された松本幸四郎は古典歌舞伎に取り組む一方、ラスベガスでの歌舞伎公演など従来の枠組みを超える挑戦を続けている。ブルーマンの魅力について、さらにはコロナ禍における歌舞伎について、率直に語っていただいた。
――新型コロナウイルスの影響で公演中止が相次ぐ世界のライブエンターテインメントですが、ブルーマングループのワールドツアーがいち早く再開となります。新たなるブルーマングループに対して、幸四郎さんはどんなご期待がありますか。
ブルーマンの魅力は、生身の人間のパフォーマンスだと思うんですね。本番に行きつくまでの鍛錬というか、心身を鍛え上げないとできない。「人間ってこんなにすごい力を持っているんだ、エネルギーを持っているんだ」と衝撃に受けに行く場所だと思いますね。ブルーマンを観に行くと、勇気と元気をもらえるんです。今一番必要にされているものをもらえると思うから、今回のツアーにぜひとも行かなければと思います。
――ブルーマンは想像を絶する技が繰り広げられる一方で、「えっ、こんなこともするの?」と思うような馬鹿馬鹿しいこともやっていますよね。参加するだけで元気をもらえるようなパフォーマンスでしたが、幸四郎さんが最初にご覧になったときはどう感じましたか。
トイレットペッパーを全部引っ張り出したり、投げてはいけない果物を投げてみたり(笑)、子どもの頃にやってみたかったことをすべてやっていたんです。「ああ、小さい頃はこんなことをしたかったなあ」と純粋に思っていたことを思い出して。エンターテインメントをストレートに感じるパフォーマンスだなと思いましたね。
――歌舞伎とブルーマンの共通点を考えるとしたら、どういうところだと思いますか。
エンターテインメントだということですよね。パフォーマンスとしては、太鼓を叩いて水しぶきを出すなど技術が必要で、洗練されていないと伝わらないものだと思うんです。ふざけているだけでも、いたずらをしているだけでもない。パフォーマンスとして成り立っているのは、それだけの技術が必要なんだと思う。その兼ね合いは難しいと思うけれど、ああやってパフォーマンスとして技術を見せるところがエンターテインメントとしての歌舞伎と共通点を感じますね。
◆公演情報◆
『ブルーマングループワールドツアーIN JAPAN』
仙台:2022年4月2日(土)~3日(日) 仙台サンプラザホール
東京:2022年4月6日(水)~5月8日(日) EXシアター六本木
名古屋:2022年5月11日(水)~15日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
大阪:2022年5月18日(水)~22日(日) オリックス劇場
福岡:2022年5月27日(金)~5月29日(日) 福岡サンパレス
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〈松本幸四郎プロフィル〉
二代目松本白鸚の長男。息子は八代目市川染五郎。1973年三代目松本金太郎を名乗り初舞台を踏む。1981年に七代目市川染五郎を襲名。2018年に松本幸四郎を十代目として襲名する。歌舞伎以外の演劇やテレビドラマにも出演するなど幅広い活躍を見せる。
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