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松本幸四郎インタビュー(下)、『ブルーマングループワールドツアーIN JAPAN2022』

ジャンルの垣根を超えることで新たなものが生まれる

大原薫 演劇ライター


松本幸四郎インタビュー(上)

種も仕掛けもわかっているのに、人の心を動かせる

――「ブルーマンにも歌舞伎にもあるのが、傾(かぶ)く精神」とおっしゃっていました。幸四郎さんにとって「傾く」とは?

 芝居というのは嘘の世界ですから、お客様は嘘だと承知して観ているわけで。たとえば、誰かが人を刺したのを見たら普通なら110番に電話してしまいますが、お客様は誰も電話しない。芝居だ、嘘だとわかっているのにドラマに入り込んでいるというのは不思議な感情ですよね。

 それこそ、女形は男性が女性を演じているとわからないといけない。「女性が演じているんでしょう?」と思ってしまったら、女形の魅力が半減してしまう。「男が演じている女形」とわかって見ているのに「なんで女性以上に女性らしいのか?」と思えるところに魅力がある。「これは嘘です、種も仕掛けもあります」と言ってだましながら、人の心を動かすところが傾いているなあと思いますね。

松本幸四郎=中村嘉昭 撮影拡大松本幸四郎=中村嘉昭 撮影

――「普通の人間が演じているけれど、ブルーマン」というのは、「男性が演じている女形」と通じるものがあるかもしれません。

 ブルーマンも「これはファンタジーです」と言っている象徴的な形ではないかと思いますね。それを見て人が本当に興奮するんですから。

――嘘だとわかって観ながら、観客に湧き上がる感情は本物なんですね。さて、幸四郎さんは以前から「妄想歌舞伎ナイト」というイベントをされていて、様々な妄想を繰り広げていらっしゃいます。幸四郎さんの「妄想」からスタートしたものが実はたくさんおありですよね。たとえば、「歌舞伎オンアイス」を妄想したら、実際にフィギュアスケートと歌舞伎がコラボレーションした『氷艶』として上演されました。歌舞伎フェイスパックも幸四郎さんの妄想から生まれたものです。

 そうですね、ラスベガスで歌舞伎を上演したときのことですが、ラスベガスに行ってMGM(リゾーツ・インターナショナル社)の方にご挨拶した際に「会場でどんなことができるんですか」と聞きました。そしたら逆に「あなたが何をしたいかが大事なんです」と言われたんです。MGMの方は人工池の噴水を高く吹き上げたい思いからあれだけの高さまで水を吹き上げる技術がない時代にそれを発明して作り上げたんです。それに興奮し喜ぶ人々が世界中から集まっているのです。

◆公演情報◆
『ブルーマングループワールドツアーIN JAPAN』
仙台:2022年4月2日(土)~3日(日)  仙台サンプラザホール
東京:2022年4月6日(水)~5月8日(日)  EXシアター六本木
名古屋:2022年5月11日(水)~15日(日)  愛知県芸術劇場大ホール
大阪:2022年5月18日(水)~22日(日) オリックス劇場
福岡:2022年5月27日(金)~5月29日(日)  福岡サンパレス
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〈松本幸四郎プロフィル〉
二代目松本白鸚の長男。息子は八代目市川染五郎。1973年三代目松本金太郎を名乗り初舞台を踏む。1981年に七代目市川染五郎を襲名。2018年に松本幸四郎を十代目として襲名する。歌舞伎以外の演劇やテレビドラマにも出演するなど幅広い活躍を見せる。
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★公式ブログ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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