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創立100周年のOSK日本歌劇団は、宝塚歌劇団とどう違うのか

記念公演『レビュー 春のおどり』の見どころはここ!

青木るえか エッセイスト

「うわあああ、すごい」と思っているうちに終わる。これぞレビュー

 OSKといえば「生命力あふれるダンス!」「見ているだけで元気が出てくるステージ!」などと言われているが、基本、好きなように見ていただければいい。レビューショーというのはそういうものだ。

 しかし、私としては、ここは思い切って、

 「スターを見ろ!」

 と言いきってみたい。

 論座がwebメディアであることの利点を最大に発揮するべく、スターのアップ写真を多めに載せるので見てみてください(もちろんここに写っているのがスターのすべてではありません。たまたま写ってないだけで他にもいっぱいいます)。

 レビューというのは集団芸で、ラインダンスなんかまさに「集団の美」を見せるものであるが(そしてOSKのラインダンスはそのスピード、足を上げる高さ、回数、そしてその揃っていることで、名物になっているわけだが)、やってるのは一人の人間だ。その一人一人に魅力がなかったら、集団で魅せることだってできるわけがない。

 OSKがはじめての人には、

 「なんでもいいから目についたスターを追え!」

 「ストーリーなんてないんだから、好きなように好みのスターを追ってろ!」

 「途中で誰が誰だかわかんなくなったらさっさと次に目についたスターを追え!」

 これが私のアドバイスだ。『春のおどり』はそういう楽しみ方ができる。幕が降りた時にはウソみたいに気分が上がっているはずである。

 ……というだけではあまりにも『春のおどり』がどういうものかわからないので、内容をちょっとご紹介したい。

=撮影・久保昌美拡大オープニングの祝舞を舞う楊琳=撮影・久保昌美

 日舞にはすごい場面がある。舞台は江戸の吉原の廓。写楽(あの浮世絵の)が出てきて、美形の太夫が出てきて、ああ吉原の色模様かと思うと、真打ちみたいな太夫がいきなり黒燕尾服の美紳士に変身する! えーっ! 他の太夫や花魁たちはドレスに変身、タンゴを踊り出す。吉原の空にはなぜかムーランルージュの幻影が……。

=撮影・久保昌美拡大伝説の伊達男・名古屋山三の愛瀬光(まなせ・ひかる、左)と葛城太夫の城月れい(きづき・れい)=撮影・久保昌美
=撮影・久保昌美拡大白藤麗華(しらふじ・れいか) =撮影・久保昌美
=撮影・久保昌美拡大愛瀬光(左)と華月奏(はなづき・そう)の鞘当=撮影・久保昌美

 はっきりいってワケがわからない。

 写楽は腰抜かしてびっくりして、しかしこんな夢のような光景を見たことによって一皮むけた絵師となり、その盛名はやがてムーランルージュにまで届くのだった。……というのは勝手な解釈で、舞台上での説明は何もない。黒燕尾に変身した太夫はそもそも男なのか女なのかとか、そんなこと考えてもしょうがない。「うおー、すごい」と思いながら見ていればいい。

 ここで写楽をやっている翼和希(つばさ・かずき)と、黒燕尾で写楽を惑わす太夫を演じるトップスターの楊琳(やん・りん)のからみ。個人的にこの『春のおどり』でいちばん好きなとこです。ワケがわからないのにすごく興奮できます。

=撮影・久保昌美拡大黒燕尾の紳士(楊琳)に迫られる写楽(翼和希/つばさ・かずき)=撮影・久保昌美

 これなんか、三章構成になっている日舞のうちの一部、さらにその中の一場面で、この廓の場面は他にもいわくのわからない立ち回りやら、女スリと黒装束の闇太郎のからみやら、「廓ワンダーランド」みたいなことになってるし、廓に入り込む前には清浄な翁の世界で三番叟(さんばそう)が舞ったり、廓を出たら月世界風の群舞でモダンダンスみたいに盛り上げるとか、こんなふうに書いたら「いったいなんなんだ?」と思うかもしれませんが、客席で見てるとふつうに納得。「うわあああ、すごい」と思っているうちに終わる。これぞレビュー。

=撮影・久保昌美拡大楊琳(左)と華月奏=撮影・久保昌美
=撮影・久保昌美拡大『翁』を舞う桐生麻耶(特別専科)=撮影・久保昌美

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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