メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

反復帰から反国家へ

 まず、一つ目の流れである反復帰の思想を見る。

 反復帰論の代表的な論者は、『沖縄タイムス』の記者だった新川明(あらかわあきら)と川満信一(かわみつしんいち)である。新聞記者として精力的に記事を書きながら、雑誌『新沖縄文学』に拠って反復帰の論陣を張った。彼らは本土日本をたんに幻滅の対象ではなく、「国家としての日本」と見て、反復帰の視点を反国家へ深化させていった。

沖縄タイムスの元記者、新川明氏拡大『沖縄タイムス』記者、『新沖縄文学』編集長を務めた新川明

 ここでは、

・・・ログインして読む
(残り:約3132文字/本文:約5485文字)


筆者

菊地史彦

菊地史彦(きくち・ふみひこ) ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師

1952年、東京生まれ。76年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。89年、同社を退社。編集工学研究所などを経て、99年、ケイズワークを設立。企業の組織・コミュニケーション課題などのコンサルティングを行なうとともに、戦後史を中心に、<社会意識>の変容を考察している。現在、株式会社ケイズワーク代表取締役、東京経済大学大学院(コミュニケーション研究科)講師、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員。著書に『「若者」の時代』(トランスビュー、2015)、『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー、2013)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

菊地史彦の記事

もっと見る