3月31日の「太田光のつぶやき英語」(Eテレ)は、米アカデミー賞の話題(ほぼウィル・スミス氏の平手打ち事件)から始まった。Twitterの投稿を二つ紹介、一文ずつピックアップし、読んで、訳すという進行。
Maria Shriverは「Love is not violent」(愛は暴力的じゃない)とつぶやいていた。Judiのつぶやきは「There is nothing sexy to me about not being able to control your temper」(感情を抑えられないなんて、ちっともセクシーじゃない)だった。
Maria&Judi(マリジュディ!)という2人の女性の投稿、どちらもすごく腑に落ちた。今回のWill SmithとChris Rock(=プレゼンターのコメディアン)によるhappening(と「つぶやき英語」は言っていた)を見て、こう思っていたからだ。「愛情マッチョと単純マッチョ、どっちもノーサンキュー」。
ということで、3月27日(現地)のアカデミー賞授賞式。日本でも話題のこの騒動、ざっくりとおさらいしてみる。

席に戻ってからもクリス・ロック氏に声を荒らげたウィル・スミス氏=WOWOWのアカデミー賞中継より
クリス・ロック氏が「脱毛症」を公表している女優のジェイダ・ピンケット・スミス氏(ウィル・スミス氏の妻)の超短髪を揶揄。デミ・ムーア氏が超短髪で主演した映画になぞらえて、「『G.I.ジェーン2』で会えるといいね」→ウィル氏が壇上に駆け上がり、クリス氏に平手打ち→クリス氏はそこで「ジョークだった」と弁明→ウィル氏、席に戻って「妻の名前を口にするな」など放送禁止用語を使って怒鳴る→ウィル氏、主演男優賞受賞スピーチ。途中から涙を流して「私は愛を受け止める器でありたい。愛と配慮を伝える立場でありたい」→28日、ウィル氏、公式インスタグラムで謝罪。「愛と優しさの世界に暴力は必要ありません」(「太田光のつぶやき英語」訳)。
この出来事についての受け止め方が日米で違う、という指摘がある。アメリカはウィル氏批判が強く、日本はウィル氏擁護。その差だという。アメリカは、暴力を否定する意識というか規範がある。日本はそこよりも、「家族思い」を評価する。そんな解説をたくさん見たり聞いたりした。