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「国民のおもちゃ」を演じた『笑っていいとも!』のタモリ

[3]「仕切らない司会者」を支えた「無」への志向

太田省一 社会学者

攻撃的知性の屈折が生んだ「国民のおもちゃ」

タモリは「芸能人は国民のおもちゃ」とよく語っていた拡大タモリは「芸能人は国民のおもちゃ」とよく語っていた

 ただし一方で、そうした知的な攻撃性は、『いいとも!』という番組がメジャーになっていくとともに屈折していった面もある。

 これはだいぶ後のことになるが、「テレフォンショッキング」の冒頭、タモリと観客がやり取りをするのが恒例になっていた時期があった。「コール&レスポンス」の要領で、「今日の東京は天気がいいですね」などとタモリが言うと、観客が声を揃えて「そうですね!」と返す。なにを言っても観客が「そうですね!」と返してくるので、そのうち面白がったタモリが「そうですね!」とは答えられないような質問をし、客席が困惑するのを見て「してやったり」という表情をするようになっていった。あるいは、ことわざや格言の上の句をタモリが言い、下の句を観客が答えるというパターンも生まれ、ここでも観客が答えられないとタモリは喜んでいた。

 そこには、従順すぎる観客(世間)への

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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)、『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)など。最新刊に『ニッポン男性アイドル史――一九六〇-二〇一〇年代』(近刊、青弓社)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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